シブコの“心友”キャディーが明かすスマイルシンデレラの裏側

2019年12月02日 16時30分

定由キャディーはホールアウト後、渋野と笑顔でハグ

 シブコはいかに進化を遂げたのか? 今季の女子ゴルフ界の主役、渋野日向子(21=RSK山陽放送)は国内ツアー最終戦「ツアー選手権リコーカップ」(宮崎・宮崎CC=パー72)を通算7アンダーの2位で終えた。逆転賞金女王はならずも、賞金ランキング2位の大躍進。そんな渋野の姿を誰よりも近くで見てきた定由早織キャディー(27)の証言をもとに、飛躍の1年に迫る。「心のよりどころ」が本紙に明かしたスマイルシンデレラの裏側とは――。

「私は爆発するタイプじゃない」

 定由キャディーによれば、今シーズン開幕当初、渋野はこんな言葉を何度も口にしていたという。「『ここは攻めていいよ』と言っても、安パイにいく。まだ自信がなかったんだと思います」。ピンを積極的に狙うショットと強気なパッティング――。わずか9か月前には、今では当たり前となった渋野らしいスタイルとある意味、正反対のゴルフだった。

 最初の転機は4月の「KKT杯バンテリンレディス」。初日に「81」を叩き、最下位となった渋野は2日目に「66」と挽回して、予選を通過。最終日には20位まで順位を上げた。「あれだけ叩いて、吹っ切れて攻めたことで『思い切りやったほうがいいんだ』って気付いたんだと思います」。変わり始めた渋野は別のキャディーと組んだ5月の国内メジャー「ワールドレディスサロンパスカップ」で初優勝。「自信がついたみたいで、あの優勝からもっと攻めるようになりました」

 7月に国内2勝目を挙げると、8月には海外メジャー「AIG全英女子オープン」を制し一躍、時の人となった。「最初は戸惑っていましたよ。落ち着いたのはマネジャーさんたちがつくようになって、周りをコントロールしてくれるようになってからだと思います」

 それでも、連続オーバーパーなしの記録がかかっていた8~9月は苦しんだ。「シブちゃんは体調が悪い試合もあったし、記録を更新したいという気持ちが強かったのでピリピリしてましたね」。渋野自身も記録が「29」でストップした「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」(9月)を今季最も苦しかった試合に挙げた。

 渋野は翌週の「デサントレディース」で優勝して一気に立ち直ったが、この試合も別のベテランキャディー。まだ優勝がなかった定由キャディーが「まだ3年目の私で勝てるのかな?」と責任を感じ始めた。

 渋野は定由キャディーを「心のよりどころ」と表現し、今オフには純粋なプライベート旅行を計画する間柄だ。「私だから、シブちゃんがイライラを表に出しちゃうのかな、と思うことはあります。他のキャディーさんの時のことは分からないんですけど」

 そんな中、前週の「大王製紙エリエールレディス」でついにこのコンビでの初優勝。「多少のミスがあってもイライラせずに踏ん張っていました。それがシブちゃんのいい時だし、優勝争いでそれができるのは強さだと思います」。お互いに苦しい時期を乗り越えたからこそ、泣き合って喜んだ。

 渋野は「まだ出られるかもわからないですけど、東京五輪で金メダルを取りたいですね」と来季の目標を掲げる。今季は定由キャディーがパスポートを持っていないこともあり、国内のみ17試合のコンビだったが「スケジュールを聞いたら、来年は予想以上に多くなりそうです。五輪以外にも、大きな舞台に連れて行ってくれるみたいなので、早くパスポートをつくります(笑い)」。

 渋野の進化はまだまだこれから。定由キャディーはさらにその転機を見届けることになりそうだ。