2020年東京五輪はどんな態勢で挑むのか? 国内女子ゴルフで賞金女王争いが佳境を迎えるなか、渋野日向子(21=RSK山陽放送)は新たにトレーナーを同行させる新態勢で最終戦の「LPGAツアー選手権リコーカップ」(宮崎CC=パー72)に臨んでいる。初日(28日)は2アンダーの3位と上々の滑り出しとなっただけに、スタッフの人数が大幅に制限される五輪での態勢が早くも懸案事項となっているのだ。

 世界ランキング12位の渋野と同17位の鈴木愛(25=セールスフォース)、賞金女王を争う2人は同時に来年の東京五輪の代表争いでもライバル関係にある。まだ代表は決まっていないが、その時に備えて周囲は準備に取り掛かる時期を迎えている。

 そうしたなか、どうしても引っ掛かってくるのが、通常のトーナメントとは同様の態勢が組めないスタッフの人数問題だ。前回のリオ五輪の日本代表チームはわずか11人だった。内訳は男子2人、女子2人の選手4人にそれぞれのキャディーで計8人。日本代表コーチの丸山茂樹(50=セガサミーHD)らスタッフに残された枠は3つしかなかった。

 渋野の関係者は「海外メジャー(AIG全英女子オープン)のチャンピオンですから、五輪に出られるとなったら、それなりの態勢で臨めるように配慮してほしい」と話すが、選手団の枠は国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)の決定事項。頼みの日本ゴルフ協会(JGA)がいくら働きかけたとしても、大幅に増えるとは考えづらい。

 近い将来の米ツアー参戦を見据え、青木翔コーチ(36)に加えて今大会ではトレーナーを同行させるなど「チーム渋野」は態勢が整いつつあるが、東京五輪では大幅な見直しを迫られる可能性が高いのだ。

「五輪だからといって、普段見ていないコーチやトレーナーがついても意味がないと思うのですが…」(前出の関係者)。そのほかにも、選手村に入らない場合はどこに宿泊するのか、個人の車で会場入りできるのかなど、今後は東京五輪に向けての疑問や課題を一つずつクリアしていかなければならない。もちろん、この辺りは本人よりもマネジメント会社を含めた周囲が頭を悩ませるところ。渋野はシーズン最終戦に集中している。

 初日は9番パー5で2オン4パットのまさかのボギーがあったものの「パー5の借りはパー5で返そうと思っていました」と11番ではイーグル奪取。首位と3打差の3位と上々の滑り出しを見せた。

 逆転女王の絶対条件は単独2位以上。それだけの成績を残せば、世界ランクによって決定される東京五輪にも一歩近づく。メダルの期待もぐんと高まるだけに、いよいよ五輪に向けた準備を本格化させることになりそうだ。