【エリエールレディス】大逆転優勝!渋野日向子 V字回復の裏に2つの「替える」

2019年11月25日 19時00分

大逆転優勝に笑顔の渋野

 予選落ちもネガティブなことばかりではなかったということか。国内女子ゴルフの「大王製紙エリエールレディス」(愛媛・エリエールGC松山=パー72)で大逆転優勝を飾った渋野日向子(21=RSK山陽放送)に久しぶりに笑顔が戻った。3日目から連日の66をマークし、通算19アンダーで手にした今季国内ツアー4勝目は、賞金女王の可能性も残した価値ある勝利。V字回復の裏にあったキーワードは2つの「替える」だった。

「早織さんが『勝ったよ』って言って泣いちゃったんで、もらい泣きしちゃいました」。プレーオフに備えてパッティング練習をしていたところで定由早織キャディー(27)から優勝が決まったことを告げられると、一緒に涙を流した。

 今季最も多くコンビを組んできたが、優勝は今回が初めて。「たくさん迷惑をかけてきたんで、最高の贈り物は優勝しかないなと思っていたんで勝てて良かったです」。今季の出場権をかけた昨年末の最終QT(予選会)からの相棒との初Vを喜んだ。

 先週の予選落ちで渋野は賞金女王争いからの脱落を自ら宣言した。ここで1つ目の「替える」を実践。プレーできなかった日曜日には青木翔コーチ(36)と兵庫県内でラウンドしたほか、久々に両親とじっくり話す時間も作った。

「応援してくれる人たちからも『今までずっと予選を通ってくれてありがとう』とか、前向きなメッセージをもらって、残り2試合、自分のためではなく、みんなのために頑張ろうと思いました」と気持ちを切り「替える」ことに時間を費やした。

 最終日の24日には「いてくれるだけで安心するし、優勝するところを見てもらいたかった」と青木コーチを急きょ呼び寄せた。家族、コーチ、キャディー、ファン…。賞金女王ではなく“誰かのために”――。そんな思いがVを呼び込んだ。

 また、今大会では2本のウエッジとパターを入れ「替える」ことで勝負に出た。ウエッジはシャフトをこれまでとは違うものにチェンジ。「振った分だけ飛んでくれるというか、距離感が合わせやすくなりました。まあ、私は言いなりなんで詳しいことはコーチに聞いてください(笑い)」

 青木コーチは「これまでより、先の動きが少ないシャフトにしたのでスピン量が安定したと思います」と解説。先週の予選落ちを受け、オフに試す予定だったものを前倒しで使用したという。

 一方、パターは銀色の“エース”を再投入。1か月ほど前から本来はスペアとして作った性能的には同じ黒いヘッドのパターを使っていた。
「本人が使いたいというんでスペアの方を使ってたんですけど、簡単に言うと理由は『黒の方がかっこいい』というだけなんで戻させました」(青木コーチ)

 エースはこれまでの優勝を支えてきた“持ってる”パター。ホールアウト時点では最終組の森田遥(23=中国)が1打差に迫っていたが、本来ならチャンスホールの17番パー5で突然の強烈なアゲンストに見舞われ痛恨のボギー。18番でフォローの風を受けた渋野は「急に吹いてきたのでビックリしました。17番じゃなくて良かったです」。8打差からの大逆転劇だった9月の「デサントレディース」に続き、エースを手にしたことで天も味方した。

 逆転女王が再び現実味を帯びてきたが「賞金女王のことを考えなくなったら、この結果だったんで、来週も自分のプレーに集中すれば、結果もついてくると思います」。2019年は渋野の年。シンデレラストーリーはまだ終わらない。