渋野21年米ツアー挑戦表明「来季」じゃない裏 すでに資格あるが東京五輪への思い

2019年11月15日 16時30分

“スマイルシンデレラ”の決断理由は――。15日に21歳の誕生日を迎えた女子ゴルフの渋野日向子(RSK山陽放送)が、来年後半に実施される予選会(QT)を経て2021年から米ツアー本格参戦を目指す意向を示し、注目を集めている。なぜ8月の「AIG全英女子オープン」優勝で得た来季の米ツアー出場資格(18日登録締め切り)を放棄してまで21年シーズンからの挑戦を見据えたのか。その複雑な胸の内に迫った。

「いろんなことを覚悟していく年になると思います」。渋野は21歳で迎える1年をこう表現した。

 すでに資格を持つ来季の米ツアー本格参戦を見送り、再来年からのチャレンジを決断したキーワードは、この「覚悟」だった。本紙の取材に「米ツアーに行くとなれば、米国に住むことにもなると思うんです。生活面とか、いろんな意味で今はまだ覚悟ができていません。でも、これから1年あれば必ず覚悟はできると思っています」。

 そのためにも、来季はすでに出場権を得ている5つのメジャーと、2月の「HSBC女子チャンピオンズ」に加えて主催者推薦で米ツアーにも積極的に参戦する。昨年までに、渋野が海外に行ったのはタイで実施した合宿の1度だけ。今季は米ツアー3試合に出場したが「AIG全英女子オープン」(英ミルトンキーンズ)と「スウィンギングスカート台湾選手権」(台湾・新北)、日本で開催された「TOTOジャパンクラシック」(滋賀・大津)で、米国開催の試合には1度も出ていない。

 これまでも渋野本人が繰り返してきた「時期尚早」という言葉通り、米ツアー本格参戦を決断するには、あまりに経験不足なのは事実だろう。

 また、来夏は東京五輪が開催される特別なシーズンという事情もある。五輪代表選手は世界ランキングにより決定される。現時点では世界4位の畑岡奈紗(20=森ビル)、15位の渋野、19位の鈴木愛(25=セールスフォース)が有力候補。全員が15位以内に入れば、3人揃って出場可能(最大4人)だが、基本的には各国2人までとなる代表枠を争っている。

 先週の「TOTOジャパンクラシック」の優勝で、渋野と同じく来季の米女子ツアー参戦が可能となった鈴木は「今は半々です」とした上で「来季の目標をどこに置くかですね。五輪を最優先に考えるなら日本のほうがいいのかなと思います。米国に行けば、ランキングを大きく上げるチャンスもあるけど、下がる可能性もあるので」。

 これは渋野にとっても同じ状況。自国開催の五輪という一生に一度のチャンスをものにするためにも、このタイミングで新たな環境に飛び込むのはリスクの高い選択というわけだ。

 すでに決断を下した渋野は逆転賞金女王に向けて、気持ちは完全に15日開幕の国内ツアー「伊藤園レディス」(千葉・グレートアイランドC=パー72)にあり「しっかりスコアを出さないとうれしい誕生日にならないと思うんで、できる限り頑張ります」。さまざまな意味で重要度が増す渋野の21歳は、スタートから勝負がかかる。