新たなスターの誕生だ。女子ゴルフの「富士通レディース」最終日(20日、千葉・東急セブンハンドレッドC=パー72)、1打差の2位から出た古江彩佳(19)が67をマーク、通算17アンダーとスコアを伸ばし、逆転でツアー史上7人目のアマチュア優勝を達成した。プロテストは免除され、最短で11月1日開幕の「樋口久子三菱電機レディス」(埼玉・武蔵丘GC)がプロデビュー戦となる。ミレニアム世代から飛び出したニューヒロインの素顔は――。

 3打リードで迎えた最終18番パー4が今大会唯一のボギー。タップインで優勝を決めた古江は同じミレニアム世代の吉田優利(19=日本ウェルネススポーツ大1年)、西村優菜(19)、1学年下の西郷真央(18=麗沢高3年)の祝福を受けると、涙をこぼした。

「最終プロテスト」(11月5日~、岡山)は、この優勝で免除される。手続きがスムーズに進めば、今週半ばには日本女子プロゴルフ協会(LPGA)に正会員として入会。同時に来季終了までの出場資格も手にする。

 渋野日向子(20=RSK山陽放送)の活躍で沸く日本の女子ゴルフ界に新たなヒロイン候補が誕生。その素顔は今どきの10代にしては珍しく(?)ゲンを担ぐタイプだ。

 優勝インタビューでは慌てて「かつ丼」と口にしたが、最終日前日(19日)の夕食は「とんかつ」だった。「試合中は焼き肉、すし、とんかつとだいたいルーティンが決まっています」(母のひとみさん)。勝利を願うとんかつは本来、開幕前日のメニューで、今週は2度目の投入だった。

 反対に試合中、絶対口にしないのが鶏肉だという。これもゲン担ぎで「ゴルフで“トリ”と言ったらトリプルボギーじゃないですか。チキン(臆病者)でパットが打ち切れないのも嫌なんで」(古江)。

 6月の「日本女子アマ」最終日には日本ゴルフ協会(JGA)幹部が乗るカートにより、3Wが折られるという不運では片づけられないアクシデントに見舞われた。思わぬ形でその名を知られるようになったが、今大会ではゲン担ぎの効果が抜群だったようだ。

 一方、10代らしく大好きなのがディズニーリゾート。「試合で千葉に来たときは絶対行きたいです。ランドよりシーのほうが好きですね」。今大会後は「最終プロテスト」の練習ラウンドに行く予定だったが、その必要はなくなった。「優勝したらって昨夜、母のほうから言ってくれたんですよ」と千葉滞在を延長。久々というほどでもない1か月ぶりのディズニーを堪能するという。

 もう一つ、長年ハマっているのが歌手の浜崎あゆみ(41)。「5歳ぐらいのころからDVDを見てマネをするのが好きで、ずっと好きです」。両親が運転する車での移動中は、いつもDVDを見ながら振り付きで熱唱。画面に近い助手席が古江の指定席だ。

 プロとして臨む次戦からは予選を通過すれば、賞金が得られる。「今すぐ買いたいものはないんですけど、まず『TeamAyu』(浜崎のファンクラブ)に入りたいです」。今季出場可能なのは4試合。アマチュアVの勢いで一気に駆け抜ける。