渋野日向子を海外メジャー制覇に導いた青木翔コーチ「ゴルフで大事なのは“継続力”」

2019年10月03日 11時00分

青木コーチは渋野に練習ドリルを課している

【全英女王・渋野日向子のコーチ 青木翔のこれだけやっとけ!】ゴルフの本紙レッスン連載に10月から青木翔コーチ(36)が登場だ。女子ゴルフ界を引っ張る渋野日向子(20=RSK山陽放送)のコーチであり、8月の「AIG全英女子オープン」ではキャディーとしても、日本女子42年ぶりの海外メジャー制覇の快挙を支えた。渋野を含めプロ、トップアマの指導で青木コーチが多用するのが練習ドリル。「これだけやっとけ!」と紙面でも、さまざまなドリルを紹介する。

 読者の皆さん、はじめまして、プロコーチの青木翔です。本日からレッスンの連載を始めることになりました。

 この連載のことはかなり前から決まっていたのですが、シブコが「AIG全英女子オープン」で優勝してから、東スポの担当者さんには「本当にやってくれますよね? 大丈夫ですよね?」と何度も念を押されました。確かにシブコのおかげで忙しくはなりましたが、青木は約束は守る男です。しっかりとさまざまなレベルの方のゴルフ上達に役に立つ情報をお届けしていきます。これは新たな約束です。

 私がコーチになったのは27歳のころ。それまではプレーヤーとして、プロを目指して、プロテストやQT(予選会)を受けていましたが「もういいや」と思って断念しました。メンタル的に選手には向いてないと気づいたんです。シブコがいい例。アイツは練習場では下手くそなのに、試合ではちゃんと打つし、飛距離も伸びます。ボクは逆で、練習場でうまいタイプ。試合になっても飛距離は変わりません。どこかビビってるんでしょうね。

「62」を出したこともあるけど、それはプライベートのラウンド。一方でジュニアには、試合で自己ベストを更新してくる選手がよくいます。コースセッティングは確実に難しいのに、試合のほうが力を発揮する。絶対、そのタイプのほうが競技に向いてますよね。

 才能豊かなジュニアに出会ったというのも大きかったかもしれません。実はプロを諦める少し前から並行して、レッスンをしている選手がいました。高校1年生なのに飛距離はボクと変わらない。もうこの子に勝てなくなるなと思ったので、本格的に教える側に回ったというわけです。その選手の名前は亀代順哉(24)。大学4年で「日本アマ」に優勝して、今はプロになっています。

 皆さんにとってはシブコのコーチという印象が強いと思いますが、今でも教えているのはジュニアが中心。今は小学生から大学生まで、十数人指導しています。今はこれで手いっぱい。一般のアマチュアゴルファーの方からも、さまざまな形でレッスンのお問い合わせをいただいているのですが、新規の方を受け付けられる状況ではないのでご勘弁ください。

 さて、今回のレッスンではシブコが実際にやっているもの、初心者にお勧めのものなど、毎回、練習ドリルを紹介していきます。ドリルは同じことの繰り返しなので、飽きてしまって続けられない選手もいますが、シブコは「これだけやっとけ」と言うと、本当にずっとやっています。

 ゴルフで大事なのはこの“継続力”。そんな素直なところに「この子はいい選手になるだろうな」という可能性を感じましたし、実際にドリルを何度も繰り返してきたことで成長してきたと思います。一般のアマチュアゴルファーの皆さんも、それぞれができる範囲で適切なドリルを繰り返していけば、必ず上達につながります。

 これを読めば、あなたもシブコになれます。なんてことを簡単には言えませんが、少しでも近づけるようなお手伝いができればと思っていますので、皆さんよろしくお願いします。

【渋野がやっている過酷ドリル】渋野は試合会場でもラウンド後に必ず、パッティングの練習ドリルをこなしている。最初に行うのはカップを中心に扇状に1メートル、1・5メートル、2メートル…5メートルと並べたボールを9球打つドリル。7球以上カップインするまで、どんなに時間がかかっても続ける。

 ハーフの9ホールを想定し、ミスは2回まで。当初はこのドリルだけで2時間以上かかっていたという渋野だが、最近は30分以内でクリアすることも多い。会場にはこのドリルを理解しているギャラリーもおり、クリアすると拍手が起こることもある。

 続けてカップから真っすぐ3メートル、5メートル、7メートルの距離にボールを並べる。こちらは3球連続でカップインするのがノルマ。やさしいラインを選ぶこともできるが、渋野は「これ後悔するやつだ(笑い)」と口にしながら、傾斜にかかった難しい位置からもトライしている。

 最後は6メートルのパッティング。1か月ほど前に5メートルから距離を伸ばした。ランダムな位置から1球ずつ、ラウンド中のようにラインを読んで打つ、実戦に近い練習。連続で決める必要はないが、3球カップインするまで続ける。

☆あおき・しょう=1983年3月28日生まれ。福岡県出身。福岡大学卒業後、プロを目指すも断念。2011年にコーチ業をスタートさせた。翌年には「青木翔ゴルフアカデミー」を設立。ジュニア育成に力を入れる。渋野日向子のほか、16年「日本アマ」優勝の亀代順哉ら複数のプロも指導している。