空前のシブコフィーバーは東京五輪チケットの人気相場まで一変させるのか。東京五輪組織委員会は19日、五輪チケット1次抽選の追加抽選販売申し込みを同日午前11時59分で締め切り、大きな混乱なく完了したと発表した。その裏で、今回たった1セッションだけ抽選対象になった女子ゴルフに異常な注目が集まった。理由はもちろん海外メジャー「AIG全英女子オープン」を制した渋野日向子(20=RSK山陽放送)だ。スマイルシンデレラがもたらす予想外の地殻変動とは?

 この日、公表された累計アクセス数は約458万件。受付期間中の最大待ち時間はわずか1分で、5月の第1次抽選時のようなアクセス集中や混乱は一切なかった。

 だが、いまや“時の人”となった渋野に平穏は当てはまらない。手にしたお菓子は売れ、シブコが歩けば人・モノ・カネが動く。優勝争いを繰り広げた国内女子ツアー「NEC軽井沢72」の最終日(18日)の平均視聴率(フジテレビ)は大会歴代1位の12・3%。8・7%だった「北海道meijiカップ」に続いて、2週連続で今季のツアー最高を更新した。

 毎分視聴率では、渋野が18番で入れれば優勝となる5メートルのバーディーパットを外した場面の16・8%が最高。しかも放送はライブではなく、午後4時から5時25分までの録画中継だった。こんな空前の“シブコ景気”は、東京五輪のチケットにまで多大な影響を与えている。

 今回の追加抽選は20競技、約68万枚が対象となったが、その中には来年8月7日の「女子ゴルフ第3ラウンド(3日目)」が含まれていた。概要が公表された先月30日の時点で渋野は今季の国内ツアーで2勝していたものの、全国的な知名度はなかった。もちろん女子ゴルフはノーマーク。さかのぼれば5月の第1次抽選時は「マスターズ」を制したタイガー・ウッズ(43=米国)に注目が集まっており、男子ゴルフのほうが人気の的だった。

 しかし、渋野が「AIG全英女子オープン」を制した4日後の今月8日に追加抽選販売がスタート。SNSを中心にネットでは、女子ゴルフのチケットを希望する声が続出したのだ。ある組織委関係者は「個別の競技の倍率は一切公表できません」と言うが、1枚7000円という低価格も競争率に拍車をかけたのは間違いない。

 このシブコ現象を教訓にするなら、秋に予定される第2次抽選販売は締め切り直前まで申し込まないことだろう。この先、どんなシンデレラガール&ボーイが突然出現するか分からない。東京五輪チケット発売当初はさほど騒がれていなかった男子バスケットボールは、NBAウィザーズに入団した八村塁(21)の影響で一気にプラチナチケットに。競争率が高い女子テニスの世界ランキング1位、大坂なおみ(21=日清食品)にしても、1年前はほとんど誰も知らない存在だった。

 相場を一変させたシブコフィーバーに学び、今後のチケット抽選ではイチかバチか、新星出現を期待して倍率が低そうなマイナー競技に申し込むのも一手と言えそうだ。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)