シブコフィーバーが思わぬ波紋を呼んでいる。ゴルフで日本女子42年ぶり2人目のメジャー覇者となった渋野日向子(20=RSK山陽放送)は先週の国内ツアー「北海道meijiカップ」に凱旋出場。万全とはほど遠い状態ながらも、通算4アンダーの13位でファンの期待に応えた。女子ゴルファーとしては宮里藍(34)以来の国民的スターとなった“スマイルシンデレラ”の存在は、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)とトーナメント主催者との間でうごめく放映権問題にも少なからず影響を与えそうだ。

 凱旋試合は予想以上のシブコフィーバーだった。ギャラリー数は大幅増。初日(9日)は雨の影響で前年を下回ったにもかかわらず、3日間トータルでは大会最多の1万6407人が集まった。最終日(11日)には会場周辺で渋滞が発生し、来場者にプレゼントするはずの記念品は途中で品切れ。最終組の2つ前の渋野の組にギャラリーは集中した。

 また優勝した「全英女子オープン」と同じ週に国内で行われた女子ツアー「大東建託・いい部屋ネットレディス」最終日(4日)のテレビ中継の平均視聴率は、関東地区で7・2%を記録し、昨年の4・8%を大幅に上回った(ビデオリサーチ調べ)。ゴルフ中継を担当する民放関係者は「優勝争いの顔ぶれなど、さまざまな要素が絡むが、『全英女子』での渋野の活躍で女子ゴルフへの関心が高まったという面もあるはず」。本人が出場していない大会にまで、シブコ効果が波及したというから驚きだ。

 そんななか、一部のトーナメント主催者からは「LPGAの小林(浩美)会長は渋野の快挙を自分たちのツアー改革の成果のように話している。これを機にますます強気になるのでは」と懸念の声が出始めている。昨年から放映権の一括管理を目指すLPGAとトーナメント主催者の対立が続き、両者の間にはシーズン中も放映権の帰属問題が横たわったまま。一方で、先月中旬には来季のトーナメント開催に向けた説明会が行われた。

 その場で来季のトーナメント開催規定が示され、なかでも主催者を困惑させたのが「LPGAがネット中継に使用する機材の管理、責任は主催者が負う」という趣旨の一文だった。

「自分たちがやりたいと言い出したネット中継なのに、なぜ責任を主催者に押しつけるのかと、半ばあきれられています。管理や責任が具体的に何を指すのか、LPGAは『個別に対応する』として、その場では何も答えなかったようです」(同主催者側)

 この対応に反発を強める主催者もいたようだが、来季のトーナメント開催申し込みが締め切られる30日を前に、渋野が女子ゴルフ史上に残る空前の大ブレーク。一躍国民的ヒロインになったことで、両者のパワーバランスに変化があっても不思議はない。

 協約書の提出期限は申し込み締め切りから、1か月後の来月30日。渋野は今週も休まず国内ツアー「NEC軽井沢72」(16日開幕、長野・軽井沢72)に出場する。シブコフィーバーの影響も受けつつ、ひと波乱ありそうな雲行きだ。