ゴルフの国内女子ツアー「北海道meijiカップ」初日(9日、札幌国際CC島松C=パー72)、注目の渋野日向子(20=RSK山陽放送)は4バーディー、2ボギーで2アンダーの11位と好発進した。現在は賞金ランキング、メルセデス・ランキング(年間ポイントレース)でともに2位と多数のタイトルが狙える位置に付ける。年末に日本女子プロゴルフ協会が主催する「LPGAアワード」(年間表彰式)では、2016年にイ・ボミ(30=韓国)がマークした5冠を超える可能性も十分だ。

 周囲の大フィーバーにお疲れモードのまま“凱旋試合”に臨んだスマイルシンデレラこと渋野だったが、コースでは期待に応えるプレーでギャラリーを沸かせた。

 スタートした1番パー4をボギーとするなど前半は1オーバー。約40分の仮眠をとって迎えた後半の12番パー5、残り50ヤードからの3打目は“直撃弾”でカップを破壊。競技委員が修復後、約6メートルのバーディーパットを放り込んだ。18番パー5の第3打は計算通りにバックスピンで戻し、ピン手前2メートル。凱旋ラウンドをバーディーで締めた。

 首位には5アンダーで申ジエ(31=韓国)が立つ中、3打差の渋野は「イーブンパーでは回りたいと思っていたけど、それを上回ったので、それ以上の結果で良かったです」と安堵の表情。優勝した「AIG全英女子オープン」でキャディーを務めた青木翔コーチ(36)も「イーブンパーでも100点と思っていたので、120点です」と目を細めた。

 現在、渋野は賞金ランクでトップの申と約1300万円差の2位。最優秀選手(MVP)を決めるメルセデス・ランク2位、平均ストローク5位と、LPGAアワードの表彰対象となる主要3部門でタイトル争いを演じている。新規の「資生堂アネッサレディス」を優勝した渋野だけに同社が冠の「資生堂ビューティー・オブ・ザ・イヤー」も「今のところ他に候補はいないのでは?」(ツアー関係者)と受賞は間違いないという。

 また記者投票をもとにLPGAが選考する「ベストショット賞」「ベストコメント賞」についても「票が集まるのは確実」(同)。特別賞、敢闘賞、海外での活躍が対象となる「LPGA輝き賞」もすでに資格十分。さらに今季ツアーの賞金女王になれば最年少記録を更新するため、新記録達成者を表彰する「LPGA栄誉賞」に選ばれる可能性も高い。

 LPGAは「今年のアワードの内容は決定しておらず、表彰部門が変更されることもある」と言うものの、総取りなら実に10冠。16年のイ・ボミの5冠を大幅に上回る歴代最多受賞となる。渋野は「欲張らずに、それでもアンダーパーは出していきたい」と意気込みを語ったが、前人未到の10冠に向けて一歩ずつ前進する。