【全英女子OP】“スマイルシンデレラ”渋野日向子が東京五輪の有力候補に

2019年08月06日 11時00分

トロフィーを見つめる渋野(ロイター)

【英国・ミルトンキーンズ4日(日本時間5日)発】女子ゴルフの今季メジャー最終戦「AIG全英女子オープン」(ウォーバーンGC=パー72)最終日、2位に2打差の首位から出た渋野日向子(20=RSK山陽放送)が7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68で回り、通算18アンダーで海外初挑戦でメジャー初優勝の快挙を成し遂げた。日本勢のメジャー勝利は、1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子(現日本女子プロゴルフ協会顧問)以来で42年ぶり2人目の金字塔。岡本綾子、宮里藍らが果たせなかった偉業を達成したスマイルシンデレラは来年の東京五輪出場も視界に捉えた。

 最終18番パー4。終盤に競り合いとなったリゼット・サラス(30=米国)に並ばれて迎えた渋野は、2オンに成功したものの7メートルのバーディーパットが残った。「このくらいの距離の方が思い切って打てる」と強気に打ったパットはラインに乗り、ボールはカップに吸い込まれた。万雷の拍手の中、パターを持った左手を大きく掲げて歓喜のガッツポーズ。「泣きそうになったけど涙は出なかった(笑い)。鳥肌立ちすぎて言葉が出ない」とスマイルシンデレラは最後まで“らしさ”全開でメジャータイトルを手にした。

 最終日はピンチからの大逆襲だった。首位から出て逃げ切りを狙ったが、2オンした3番パー4でまさかの4パット。「怒るより、だんだん悲しくなってきた」。5、7番でバーディーを奪いながらも8番で落とし、首位と1打差の2位で前半を終えた。

 だが、今大会得意の後半で大爆発した。10番でカラーからのパットをねじ込んでバーディーとすると、12番パー4ではティーショットでフルスイングして1オンに成功。このホールのバーディーで勢いは加速し、続く13、15番で伸ばした。優勝争いを繰り広げる面々は世界ランク28位のサラス以外にも、今季メジャー2勝で世界ランク1位の高真栄(24)、同2位の朴城ヒョン(25=ともに韓国)といった強豪。それでも渋野は佳境に差し掛かった16番で、テレビに向かって駄菓子を頬張る強心臓ぶりを発揮し、最終ホールの歓喜につなげた。

 5月の国内メジャーでツアー初勝利を挙げたばかりのルーキーは、そこからわずか3か月でビッグタイトルを獲得。英紙「ガーディアン」は「無名の選手がスターになった」と快挙を速報。世界ランキングは大会前の世界46位から14位に浮上した。

 今大会は予選落ちに終わったが大会前9位から10位に後退した日本人トップの畑岡奈紗(20=森ビル)に迫る日本人2番手となる。来年の東京五輪に出場できるのは来年6月末時点で各国の世界ランク上位2人(15位以内は4人まで)。今季開幕まで世界ランク500位にも入っていなかった渋野が一気に五輪代表の有力候補に躍り出た。日本での5勝以上に相当するポイントを積み重ねただけに、日本ツアーを主戦場とする選手が追いつくのは容易ではない。

 ソフトボール出身の渋野にとって、来年の東京五輪は「ゴルフをやってる場合じゃないんですよ」と観客として競技を見ることを楽しみにしていた。だが今回の優勝で自身がオリンピアンになる可能性も高い。「自分が出て、選手に会います」。規格外のシンデレラはトレードマークの笑顔を見せ、快挙の余韻に浸った。

☆しぶの・ひなこ=1998年11月15日生まれ。岡山県出身。両親は陸上の投てき選手。8歳でゴルフを始めた。ソフトボールにも没頭し、中学2年まで軟式野球部に所属。その後はゴルフに専念し岡山・作陽高で全国高校選手権団体優勝。2018年夏にプロテストに合格し、今年5月の国内メジャー「ワールドレディスサロンパスカップ」で初優勝。7月に2勝目を挙げた。165センチ、62キロ。