【日本プロ選手権】石川遼が涙の国内3大大会初V 本紙だけが知っている復活の舞台裏

2019年07月08日 16時30分

 涙の復活Vだ。国内男子ゴルフの今季メジャー第2戦「日本プロ選手権」最終日(7日、鹿児島・いぶすきGC=パー70)、石川遼(27=CASIO)が通算13アンダーで並んだ黄重坤(27=韓国)とのプレーオフを1ホール目のイーグルで制し、国内3大大会初優勝を飾った。3年ぶりのツアー優勝、通算15勝目を挙げた選手会長は腰痛や不振に苦しむ中でも、ゴルフ界の将来を考えてきた。本紙だけが知る復活の舞台裏を公開――。

 ここ数年を象徴するように、この日も苦難を乗り越えての優勝だった。首位に並んでスタートした第3ラウンドは、前半の連続ダブルボギーなどで失速。上がりの3連続バーディーで巻き返したものの、71とスコアを落とし、4打差の6位に後退した。それでも、最終ラウンドは66と挽回。黄のダブルボギーもあって17番で追いつき、プレーオフは会心のイーグルで締めくくった。

 優勝を決めると、両手を突き上げてからド派手なガッツポーズ。「自分よりもファンの方が信じてくださっていて、本当に皆さんの力で勝てました。キャディーにも引っ張ってもらったし、結果でしか恩返しできないと思っていた。(イーグル決着に)入ると思っていなかったので信じられない気持ちです」と涙ながらに喜びを口にした。

 劇的な復活Vの裏には確固たる信念があった。「こんなこと、自分から話したくないんですけどね」

 今、何に取り組んでいるのか、どんな課題を持っているのか、常に積極的にメディアを通じて発信してきた石川が今季、珍しくこんな言葉を口にした。「記事にしないでほしい」という意味なのか、石川に問うと答えは「ノー」だった。「どんどん書いてください。プロがどんなことを考えているのか、たまたま記事を目にしたジュニアのヒントになるかもしれないですから」

 メディアの向こうにいるのはファンだけではなく、ゴルフ界の未来を担う子供たちがいる。最後は「東スポを読んでるジュニアはあんまりいないかな(笑い)」とオチをつけて、そんな思いを明かした。

 前回の優勝からほぼ3年。その間、米ツアーのシードを喪失し、日本では選手会長として、多忙な時間を過ごした。さらに熱中症や腰痛のアクシデント。自分が苦しい時期でも、その思いは変わらなかった。

 昨季、石川が大相撲の地方巡業をヒントに発案した「フューチャーツアー」ではジュニアにプロとのラウンド、あるいはプロのキャディーを務める機会を提供している。石川にとってはこれこそ「自分から話したくない」ことだろうが、同組になったジュニアとは積極的に連絡先を交換している様子。「『明日〇〇で回るけど、来られる?』って、突然、誘ってもらってビックリしました」「うちの子も時々、連絡をもらっているみたいです」。ジュニアやその家族からはそんな声が聞こえてくる。石川のジュニア育成への思いが、ポーズや口だけではない証拠だろう。もちろん、そうしたブレない信念が、石川自身の復活も支えたのは言うまでもない。

 一時は首位から7打差からの大逆転。「夢なのかなと思った。本当に信じられない」。そう言って涙を浮かべた石川のもとには、これまで接してきたジュニアたちからも祝福のメールが届いているに違いない。