たゆまぬ努力のたまものということか。ゴルフの米女子ツアー「起亜クラシック」最終日(3月31日=日本時間1日、カリフォルニア州・アビアラGC=パー72)、畑岡奈紗(20=森ビル)が1打差2位から67で回り、通算18アンダーで逆転優勝を飾った。米ツアー通算3勝目は自身初となる4日間大会での優勝。今季メジャー初戦「ANAインスピレーション」(4日開幕、同ミッションヒルズCC)へ弾みをつけたが、この裏には進化を後押した勝率100%の“ガソリン講習”があった。

 米ツアー参戦3年目、畑岡が着実な成長を遂げている。3日目に首位に立った元世界ランキング1位でリオ五輪金メダルの実力者、朴仁妃(30=韓国)をねじ伏せ、3打差をつけて栄冠をつかんだ。「緊張していたけど、自分のプレーに徹することができた。試合が始まる前は、なかなかこういう結果は予想できなかった」と驚きを交えて優勝を振り返った。

 今週のメジャー初戦へ勢いに乗る勝利で「平成最後のメジャーで勝ちたい。令和になっても活躍できるよう頑張りたい」と力を込めた。1977年の「全米女子プロ」を制した樋口久子以来の日本人メジャーVの期待が膨らむが、畑岡もさらなる進化を求めて妥協なき姿勢を続けている。

 昨年12月に、東京五輪強化指定選手を対象とした日本ゴルフ協会(JGA)開催の合宿に、比嘉真美子(25=TOYO TIRE)、鈴木愛(24=セールスフォース)とともに参加した。技術面はアマチュア時代から師事するJGAナショナルチームヘッドコーチのガース・ジョーンズ氏とブラッシュアップを進める一方で、新たに栄養面のレクチャーも専門家から受けた。

 JGA競技者育成担当部長の内田愛次郎氏(51)は「すでに(アマチュアの国際大会などに出場する)ナショナルチームで導入していたが(五輪強化指定選手合宿で)12月から新たに実施した。ゴルフのパフォーマンスにどのくらいの栄養を摂取しないといけないかや、プレー中のドリンクや食べ物についても専門家の講習を行った」と説明した。

 新たな取り組みの効果について、内田氏は「質のいいガソリン(食事)でエンジン(選手)を動かすイメージ」と表現する。今年1月から米フロリダ州に拠点を構える畑岡は、日々のトレーニングに加えて、“ハイオク”を摂取する食生活で実力を100%発揮できる肉体をつくって結果につなげた。

 実際、同じ合宿に参加した比嘉は国内ツアー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」(3月7~10日)、鈴木が同2戦目「ヨコハマタイヤPRGRレディス」(同15~17日)で優勝したのも決して偶然ではない。2018年度の女子強化指定選手8人のうち、参加者3人全員が優勝を果たした勝率100%の“神講習”だったわけだ。

 もちろん、成長するためには技術面以外も貪欲に学ぼうとする姿勢があればこそ。この吸収力が初のメジャー制覇、そして日本中の期待を集める東京五輪での金メダルへ、ステップアップを支えていきそうだ。