“崩壊への序章”とはならないのか…。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は18日、2019年のツアー日程を発表した。新規大会として「資生堂アネッサレディス」(7月4~7日、神奈川・戸塚CC)が加わった一方で3大会が中止となり、東日本大震災と熊本地震の影響で開催中止があった2シーズンを除くと、10年ぶりの試合数減少となった。中止の理由はいずれも「放映権がLPGAに帰属する」条件に合意しなかったことだが、これにより大きな波紋が広がっている。

 この日発表された全36試合の来季日程表からは「KKT杯バンテリンレディス」「中京テレビ・ブリヂストンレディス」「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の3大会の名前が消え、配布資料の別掲の「開催中止」の一覧に載せられた。

 中止の理由はいずれも大会主催者が「放映権がLPGAに帰属する」条件に合意せず、今月13日の期限までにLPGAと契約を締結しなかったため。また例年5月に開催される国内メジャー「ワールドレディスサロンパスカップ」についても、同様の理由でLPGAと共催だった日本テレビが契約を結ばず主催者から外れ、大会名も「LPGA選手権」(開催コース未定)の仮称で発表された。

 財政基盤を安定させることで選手の年金制度やトーナメント会場に託児所を設置して「ママさんプロ」でもツアーに参加しやすくするなどの原資にしたいLPGAは、1967年の創設以来、所在が不明確なままだった放映権の一括管理を目指して昨年から各トーナメントの主催者と協議を開始。今年9月の期限(11、12月に2度延長)までに放映権がLPGAに帰属する旨の「協約書」を締結しなければ、来季のツアー日程表に記載しないと各主催者に通告していた。これで実際に3大会の名前が消えたのだ。

「ミヤギテレビ杯」といえば2003年大会で宮里藍(33=サントリー)が、「KKT杯バンテリン」も14年に勝みなみ(20=明治安田生命)がいずれもアマチュアで優勝した日本のゴルフ史に残る大会だけに、LPGAの小林浩美会長(55)は「非常に残念。今でもやっていただきたいと思っています。“窓口”は開いています」と開催の可能性に含みを持たせた。

 とはいえ、開催には協約書の締結が必須。ツアー黎明期の73年から「ワールドレディス」(「サロンパス」の前身大会)を主催してきた日本テレビはこの日「放映権は大会の事業リスクを負い、施設管理権を有する主催者に帰属すること」「LPGA側の協議に臨む姿勢は誠実さを欠くもので、かつ放映権帰属の議論が十分になされないまま今回の発表に至ったことは甚だ遺憾です」とのコメントを発表。開催中止となった3大会はいずれも日テレの系列局が主催者で同様の意向と見られ、とても協約書に合意するとは思えない。

 LPGAは放映権料について「今までツアー発展にお世話になった経緯があるので地上波、BSとCSについては当面いただかない」(小林会長)として、有料配信するインターネットメディアのみを対象とする方針。だが、この方針を転換し「すべて有料」となったら、主催者はLPGAの放映権帰属に合意した以上、従うしかない。しかもその放映権料は「1試合3000万円」を見込んでいるとの情報がある。今季ツアーの平均視聴率は約5%。試合展開は事前に予想がつかず、天候によってはプレーが全く行われない可能性もある土日・昼間のコンテンツに「3000万円払ってと言われたら『降りる』というのも出るでしょう」(民放関係者)。テレビ放送による宣伝効果がないとなれば、開催を見送る主催者が現れるのも必至。ただでさえ放映権の一括管理を性急に進めたLPGAに対する不満は、主催者全体にくすぶっている。そこに3000万円もの支払いが加わったら、一気に爆発して中止大会続出ともなりかねない。「3大会中止」がその前兆でなければいいが…。果たしてどうなるのか。