今の日本は簡単に勝てるように見える――。男子ゴルフの今季最終戦「日本シリーズJTカップ」最終日(2日、東京よみうりCC=パー70)、11位から出た小平智(29=Admiral)が64をマーク、通算8アンダーで並んだ石川遼(27=CASIO)らとのプレーオフを制し、逆転で大会初優勝を果たした。小平が米ツアーを主戦場とした今季、日本では若手を中心に初優勝者が続出。そうした中で小平が「戻ってきた時ぐらい壁になってやろうと思っていた」と話した意図とは?

 4打差を追ってのスタートだったが、小平は優勝に狙いを定めていた。「(通算)8~10アンダーにすれば優勝争いができると思って、8アンダーを目標にしていた」。4番パー4のチップインバーディーで勢いをつけると、6番パー5ではイーグルを奪い、前半で一気に上位争いに顔を出した。

 18番パー3で行われたプレーオフ1ホール目はただ一人パーをセーブ。昨年まで苦手にしていた名物ホールを攻略し「今年は5回プレーして1アンダー。成長したと思います」と自画自賛した。

 今季、国内男子ツアーでは稲森佑貴(24)、星野陸也(22)ら初優勝者が相次いだ。若手の躍進は明るい話題だが、小平は「みんなが海外に出て阻む人がいなくなった。そういう人がいないとレベルも上がってこない」と楽観はしていない。

 小平、松山英樹(26=LEXUS)は米ツアー、宮里優作(38)、谷原秀人(40=国際スポーツ振興協会)は欧州ツアーと、実績のある選手の多くが海外でプレー。前週、日本代表としてオーストラリアでチームを組んだ谷原とは「今の日本は簡単に勝てるように見える」と、外から見た国内ツアーの印象を語り合ったという。

 この日は今季の賞金王になった今平周吾(26)と同じ組でプレー。「めちゃめちゃうまいし、賞金王になって当たり前というゴルフはしていた。あとは『うまさ』より『強さ』を勉強してもらいたい。期待を込めて」。年間1勝、過去10年で2番目に少ない約1億3900万円での戴冠に物足りなさも感じているということだ。

 来季も小平は米ツアーが主戦場だが「ZOZOチャンピオンシップ」(来年10月、千葉)の開催で日本でプレーするチャンスが増える。「自分も日本でいいプレーを見せたいと思っているし、若い選手には米ツアーのレベルを肌で感じて、いい経験をしてほしい」

 スポット参戦での優勝により急きょ本格参戦を決めた1年目と違い、米国内に拠点を構えて臨む新シーズン。「米ツアーで2勝目、3勝目を挙げられるように頑張りたい」。来季はより高い「壁」となって凱旋する。