「ひらがな」の意味は――。ゴルフの国内女子ツアー「三菱電機レディス」最終日(28日、埼玉・武蔵丘GC=パー72)は、2打差の2位からスタートしたささきしょうこ(22=日本触媒)が68で回って通算12アンダーまで伸ばし、逆転で通算3勝目を挙げた。前回Vからわずか3試合目での今季2勝目は病気公表後初めてとなる意味ある勝利になったが、その異色のキャリアを紹介する。

「過去2勝とも逆転だったので、もしかしたら、と淡い期待をもってスタートした」(ささき)というこの日は、3番パー4で2打目を1・5メートルにつけて初バーディーを奪うと、7、8番で連続バーディー。トップに立って折り返した後半も2バーディーで、堂々の逆転勝利を挙げた。

 ゴルフを始めるきっかけは9歳の時。青木功(76=日本ゴルフツアー機構会長)のゴルフ殿堂入りをテレビで見て「私もああいうふうに表彰される人間になりたい」と思ったことだった。娘の固い決意に動かされた父の修治さんは「家を売って、会社もやめて、ゴルフ場に住み込みの仕事を始めて支えてくれました」(ささき)。

 2015年に19歳でプロテストに一発合格した。本名は漢字で「佐々木笙子」だが、「笙」の字がパッと見で「竿」(さお)に似ていて読み間違えられることも多かったため、プロゴルファーとしての登録名は異例の「ひらがな」にした経緯がある。もちろん、そのインパクトは十分だった。

 今月5~7日に開催された「スタンレーレディス」で優勝した後に、「自律神経失調症」と「パニック症候群」を患っていることを公表した。「同じ病気の方からメッセージをいただけることが励みになっています」と、わずか3週後の今季2勝目に向けてのエネルギーになった。

 前回の優勝後は年間獲得賞金を「4500万円以上にしたい」との目標を掲げたが、この勝利で1440万円を稼いで5500万円近くまで伸ばし、あっさり達成。賞金ランキングも12位まで上がったことで「トップ10を目指したいですね」と上を向く。

 今季のツアーで複数勝利を挙げている日本人は4勝の鈴木愛(24=セールスフォース)と3勝の成田美寿々(26=オンワードHD)の2人だけ。残り4試合で「あと1勝できるように」と貪欲にさらなる高みを目指す。