一般社団法人日本ゴルフツアー機構(JGTO)公式戦「ISPSハンダマッチプレー選手権」(1、2回戦 7月26〜27日、3回戦〜決勝戦9月5〜9日 埼玉・鳩山カントリークラブ)が行われ、タイ出身のタンヤゴーン・クロンパ(28)が、今平周吾(25)を2アンド1で下し、日本ツアー参戦5年目で初優勝をつかんだ。国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久会長は、来シーズンの主催トーナメントについて「もう1試合増やします」と明言。市民参加型トーナメント「東京オープン」をJGTOの公式戦に組み込み、マッチプレー選手権との2本立てで「ゴルフの裾野拡大」に挑むことになった。

有限実行、即断即決!。半田会長の動きは早かった。

 6月に行われたマッチプレー選手権の開催発表記者会見で「私たちは、何を言われてもスポンサーを降りません。一生懸命に頑張っている多くのゴルファーのためです」と、永久スポンサー宣言をしてから約3か月。半田会長の、男子ゴルフ応援プランはひそかに、そして着々と進行していた。

 来シーズンのJGTOツアー公式戦で、ISPS主催トーナメントを2大会開催することを明らかにした。

 1つは、「マッチプレーの灯は消しません」(半田会長)との思いからこれまで通り「ISPSハンダマッチプレー選手権」を9月上旬に行う。試合方式は過去2回の全試合マッチプレーから「予選をストロークにして、通過者はマッチプレーで決勝まで行う」プランと「ISPSパース6のような形式」の2つが挙げられる。パース6形式とは、欧州、アジア、豪州ツアーが共催した「ISPSハンダ ワールドスーパー6パース」の形式だ。予選と決勝ラウンド初日の3日目までをストロークプレーで行い、上位24選手が進出する2回戦から、6ホールのマッチプレー(全5回戦)で優勝を争うというもの。「ストロークとマッチプレー両方強い選手が優勝します」との言葉通り“最強ゴルファー決定戦”にふさわしい体制を整える。

 さらに、もう1つは「より多くのゴルファーにチャレンジする機会を与えたい」(半田会長)との思いから、8月上旬に「ISPSハンダ東京オープン」を主催することが決定した。

「QT1次、2次、3次に出場している人が約3000人、その下に中高校生が6000人。その半分が男子としても計6000人が、JGTOのトーナメント出場を目指しています。試合数の減少とか、男子ゴルフは暗い話題ばかりです。試合が減って悲しむのは、こういう人たちです。何か明るいことをやりたいと思い、青木(功JGTO)会長や佐々木(孝悦)常務理事に相談したところ、大変喜んでいただきました」(半田会長)。

 東京オープンでは、ギャラリーは無料、また開催週の月曜と火曜に、「ウルトラ・スーパー・マンデートーナメント、ウルトラ・スーパー・チューズデートーナメント。略して“マンチュートーナメント”」(半田会長)を行い、それぞれ上位5人に本選の出場資格を与える。「140人の試合なら、20人弱推薦できます。ここでは、チャンスに恵まれない選手に、トッププロと真剣勝負をする場を提供します。そして、会場は月曜まで予備日で押さえます。試合が4日間で終われば、大会ボランティアの方にトーナメント仕立てのコースでプレーをしてもらいます。皆さんにボランティアして良かったなぁ、と喜んで帰っていただきたい思っています」と、半田流ホスピタリティーで、さらなるゴルフの裾野拡大に尽力する。

 来シーズン2つの大会を主催することで、マッチプレー選手権の国内ツアー最高賞金(賞金総額2億3000万円、優勝5200万円)更新は、いったん小休止。マッチプレー選手権の賞金総額を1億円とし、残った1億3000万円を東京オープンの賞金や運営費の一部に回す。半田会長は「日本一の賞金は選手のモチベーションですが、それよりも若い選手にチャンスが増えることを優先しました」と説明した。

 東京オープンには、尾崎将司(71)に加え、ISPS所属の尾崎直道(62)、片山晋呉(45=イーグルポイントGC)ら、レジェンドに出場を打診済み。半田会長は「男子ゴルフのレジェンド、スターが出てくれると盛り上がりますね。上を食ってやろうと虎視眈々の若手を逆に鍛えてもらいたいです」とニヤリ。男子ゴルフの活性化に向けて、まだまだアイデアは尽きない様子だ。

【ISPSハンダマッチプレー選手権VTR】クロンパの“修正力”が、今季初勝利を目指す今平を退けた。

 5番でバーディーを奪い、先行したクロンパだが、序盤はティーショットをラフに打ち込んでは、第2打で立て直す、我慢の展開が続いた。

 1アップで迎えた11番も、ティーショットを木の根元に打ち込むアクシデント。足場もままならないピンチを迎えるが、見事なリカバリーで、ボールはグリーンの手前に。先に2オンに成功した今平を尻目に、バーディーパットを決め、2アップにリードを広げた。

 13番の第3打をピンにピタリとつけ、バーディーとするなど、後半に向けてショットを修正したクロンパは、17番を終えたところで、2アンド1(1ホール残して2アップ)とし、日本ツアー初優勝、賞金5200万円を獲得した。

 国内ツアー最高額の優勝賞金をゲットしたクロンパは「これまで2位は何回かありますが、なかなか(優勝の)チャンスに恵まれなくて…。今回、ISPSの試合に出場させてもらい、優勝できて本当にうれしいです」と満面の笑み。世界中で活躍するタイ出身選手にも触れ「タイでは、多くの選手がゼロからスタートします。練習や生活習慣の指導が厳しいので、心も強くなります。ゼロからスタートすることが強さの理由だと思います」と話した。

 一方の今平は、「残念です。パターが全然入らなかったです」の言葉どおり、スタートから4ホール連続で5メートル以内のパットを外し、6、7、8番は3メートル以内を外すなど、最後まで流れをつかめず。16番で10メートルをねじ込み意地を見せたが、届かなかった。

【3位決定戦にも高級腕時計】決勝戦と3位決定戦に残った4選手に、高級時計ブランドのブライトリングに特注したISPS限定「スカイレーサー」が贈呈された。同モデルは、当初上位3選手に贈られる予定だったが、決勝戦も3位決定戦も手に汗握る展開となったことに、半田会長が大感激。「大会を盛り上げてくれたクロンパ選手、今平選手、ワナスリチャン選手、池田選手に感謝したい」と、急きょ4選手揃って贈られることになった。

 また、6日の17位タイ決定戦8番でホールインワンを記録した星野陸也(22)にも、賞金100万円のご褒美。設定されていたホールインワン賞は、12番のみだったが、若手の有望株・星野の快挙に大喜びした半田会長が、4回戦以降、全てのパー3でホールインワン賞を設定するなど、「選手の皆さんが素晴らしいプレーを見せてくれていることに、主催者として本当に感謝しています」と話した。

 プロアマ戦を盛り上げたジャンボ尾崎
プロアマ戦を盛り上げたジャンボ尾崎

◆プロアマ戦でミス・ユニバース石川代表の野田真友子さん大奮闘=台風21号の接近による悪天候の中、行われたプロアマトーナメント(4日)は、各組スタートから11ホールまでのスコアで順位を決定した。

 優勝は9アンダーのマシュー・グリフィン(豪)、小澤洋介さん、萩原浩一さん、富本卓さん組。2位には、1打差の8アンダーで星野陸也(フリー)、永井健さん、吉見光太郎さん、渡邊茂光さん組が入った。

 また、片山晋呉、半田会長らと、同組で初出場した2018年ミス・ユニバース石川代表の野田真友子さんは、猛烈な風と雨に、ずぶ濡れになりながら大奮闘。「まだ始めて1年なんですが、もっとゴルフが好きになりました。これから頑張ります」と話した。

◆ジャンボが爆笑スピーチ=ISPSインターナショナルアンバサダーを務める尾崎将司組は、プロアマ戦4アンダー13位で上位進出ならず。それでもジャンボ節は健在で「去年も言ったけど、マッチプレーに強いのは性格の悪い選手。その通り去年は(片山)晋呉が優勝した。あれだけボギーを打たなければ、同伴競技者が性格が悪く感じてもしょうがないよ」と、鋭い指摘をし、会場の爆笑を誘った。

※半田会長が地元商店街の理事に就任=カリスマビジネスマンとしても知られる半田会長が、地元商店会の理事に就任していたことが明らかになった。半田会長によると、先日、株式会社ミスズの運営する「HANDA Watch World吉祥寺・宇宙時計店」が加盟する、吉祥寺・大正通り商店会の理事選があり、見事当選。「政治や選挙には縁遠い人間だったのですが、皆さんのお役に立てるように頑張っております」とのことで“吉祥寺の北欧通り”と呼ばれ、オシャレなショップが並ぶ商店会の活性化に一役買うことになった。