出場停止の可能性も…。男子ゴルフで賞金王に5度就き、永久シード選手でもある片山晋呉(45=イーグルポイントGC)が「日本ツアー選手権森ビル杯」のプロアマ(5月30日)でゲストに不適切な対応をした問題が尾を引いている。6日に日本ゴルフツアー機構(JGTO)が事実を公表したのに続き、7日には選手会長の石川遼(26=CASIO)が謝罪コメントを発表した。今月中に開催予定の懲戒・制裁委員会では、片山に重い処分が下される可能性も出てきた。

 国内男子ツアーで起こった騒動は、7日に大会初日を迎えた女子の「宮里藍サントリーレディス」の会場(兵庫・六甲国際GC)にも飛び火した。プロアマへの対応などについて、報道陣からコメントを求められた日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の原田香里副会長(52)は「新人セミナーなどでお客様への対応などを教えているが、もう一度、身を引き締めて選手を指導しなければいけない」と話した。

 10年以上前からマナー講師などを迎え、講習会を実施している女子ツアーでも、2015年にはプロアマ中に藤田光里(23=レオパレスリゾートグアム)の専属キャディーが職務をおざなりにし、同伴のアマチュアを不快にさせる問題が発生(藤田は厳重注意、キャディーは2週間の職務停止)。決して対岸の火事というわけにはいかない。

 また、今年1月に選手会長に就任し、予選落ちした選手による“土曜プロアマ”を発案して実施した石川は「不愉快な思いをされたプロアマのお客様をはじめ、スポンサーや関係者の皆様に大変なご迷惑をおかけし、またファンの皆様にもご心配をおかけしましたことをジャパンゴルフツアー選手会として深くお詫び申し上げます」と謝罪のコメントを発表。「ツアー改革作りを行いはじめた矢先のことで、このような事態が起きたことは遺憾であり、とても残念でなりません」(コメント原文ママ)と悔しさもにじませた。

 JGTOは早々と事実を公にした一方で、これまでは遅刻や身だしなみの規定違反などで懲戒・制裁委員会が処分を決めた場合でも通常公表してこなかった。「我々から発表するのは基本的に出場停止以上の処分が出た場合と考えています」(JGTO広報)。今回は問題の性質などから公表を決めたもので「すでに処分が決まっているわけではない」としているものの、JGTOの対応からは「出場停止」などの重い処分も想定される。

 さらに片山はトップ選手の“特権”も失うことになる。プロアマが招待客の接待の場であるにしても、開幕前日の水曜日に試合会場でプレーできるのは事実。プロアマに出ない、火曜日までに練習ラウンドを終わらせる必要がある選手に比べれば、さまざまな面で有利とされる。

 以前は賞金ランキングなどの実績を基にした固定枠があったが、男子ツアーは14年から100%、主催者が参加選手を選ぶシステム。「この状況で片山を選ぶスポンサーがいるとは思えない」(ツアー関係者)。歴代2位の生涯獲得賞金約21億円の片山にとっては小さな額かもしれないが、8万円が相場とされるプロアマのギャラも受け取れなくなる。

 プロ転向から約23年、築き上げてきた日本を代表するプレーヤーとしての地位がガタガタと崩れ去ろうとしている。