平昌五輪のフィギュアスケート女子で金メダルを獲得したロシアのアリーナ・ザギトワ(15)は3日、秋田犬保存会から贈呈される秋田犬に「マサル」と命名する意向を示した。

 動物好きのザギトワは五輪前、調整合宿で訪れた新潟で秋田犬の写真を見て、母親におねだり。母親は五輪での活躍を条件に応じ、このやりとりを知った秋田犬保存会などが贈呈の意向を表明していた。

 待ち望んだ秋田犬に大喜びのザギトワは「マサルと名づける。日本語で勝利の意味です」と笑顔で話した。マサルは「勝る」もしくは「優る」が由来とみられ、15歳にして金メダルの偉業を成し遂げたザギトワの「勝利」へのこだわりがうかがえる。

 ロシアでは秋田犬は人気犬種で知られる。東日本大震災でのロシアの国家的支援に対し、2012年に秋田県はプーチン大統領に「ゆめ」(夢)と名づけられたメスの秋田犬を贈っている。プーチン大統領の公式カレンダーでもゆめと戯れるカットが使われ、一躍有名となった。

 もともとロシアでは寒さに耐えるタフさと大きさからシベリアン・ハスキーや大型犬が人気だが、秋田犬も“極寒仕様”。また忠犬ハチ公が元ネタのハリウッド映画「HACHI 約束の犬」がロシアでもヒットし、秋田犬の忠実な性格も好感されている。

 ちなみに安倍政権は2016年に北方領土交渉の手土産で「ゆめ」のムコとなる秋田犬のオスを贈呈しようとプーチン大統領に働きかけたが、日本側の“下心”が見透かされたのか、断られた経緯があった。

 今回、ザギトワに贈られるのもメスの秋田犬。「マサル」の名前は日本語としては、オス名の響きだけに将来、ムコが贈られる日が来れば、ややこしい話となってくる。