【フィギュア】羽生が目指す夢の4回転半完成形とは

2018年02月23日 16時30分

エキシビションの練習で笑顔の羽生

【韓国・江陵22日発】平昌五輪のフィギュアスケート男子で66年ぶりの連覇を果たした羽生結弦(23=ANA)は今後どんな道を歩むのか。大会最終日(25日)のエキシビションに向けて、まだ痛み止めを服用しながら、アクセルジャンプを中心に調整。欠場の可能性も示唆している3月の世界選手権、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への挑戦、さらに2022年北京大会での五輪3連覇…。元国際審判員でフィギュア解説者の杉田秀男氏(83)が占う五輪王者の未来は――。

「フィギュアはジャンプの種類や数じゃない、総合的なものなんだよ。そんな答えを示すようだった」

 杉田氏は連覇を果たした平昌五輪での羽生の演技をこう振り返った。

 右足首の負傷が大きな要因とはいえ、ネーサン・チェン(18=米国)、金博洋(20=中国)らとともに4回転時代をリードしてきた羽生が4回転ループ、4回転ルッツを封印。一つひとつのジャンプの完成度、ステップ、スピン、表現力のすべてを駆使して、金メダルを手にしたことは4回転重視の男子フィギュアの流れに一石を投じる大きな出来事だった。

 その一方で、連覇を果たした羽生は早くも次の目標として、誰も成し遂げていない4回転半ジャンプへの挑戦を表明した。あらゆるタイトルを手にした絶対王者が現役を続けるモチベーションでもある。杉田氏は「理論上は5回転も可能と言われていますが、そのためには負担に耐えられる体が必要。陸上でのトレーニングの重要度がさらに増すでしょう」と見る。

 すでに世界一の完璧なトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぶ羽生にとっても大きな挑戦。とはいえ、杉田氏は「いつかは誰かが跳ぶでしょう」と語るにとどめ、それが羽生であるかについてはやや懐疑的な見方だ。

 その一方で「数年前にこれだけ多くの選手が複数の4回転ジャンプを跳ぶとは考えもしなかった。女子でも紀平(梨花=15、関大KFSC)選手のようにトリプルアクセルを跳ぶジュニアが増えている。私たちの想像を上回るペースで選手たちは進化している」。もちろん、羽生が杉田氏の予想を覆すことも十分にあるというわけだ。

 一方で目の前に近づいているのは連覇がかかる世界選手権。羽生はこの日改めて「未定です。足首の状態が悪いということは念頭に置きながら決断したいと思います」と話した。これについて杉田氏は「日本のことを考えると出てほしいが、世界のフィギュア界にとっても大事な選手。本人が納得できる状態で出てほしい」と訴えた。

 世界選手権では常に翌年の世界選手権の国別の出場枠がかかる。2021年大会では同時に北京五輪の出場枠も決まる。日本にとっては男子の3枠確保が続くことが理想だが、そのために羽生に無理をさせるわけにもいかない。

 3連覇がかかる北京五輪は現時点で目標には置いておらず、羽生がいつまで現役を続けるのかは分からない。「環境が許せば、選手はもうこれ以上はできないという演技ができるまで続けたくなるもの。平昌のショートプログラムはそれに近いものだったかもしれませんが、続ける以上はまだ目指すべきものがあるんでしょう」(杉田氏)

 夢の4回転半ジャンプを含んだ羽生にとっての完璧な演技が完成する日はいつになるのか? それが4年後ならば3連覇を果たす姿が見られるかもしれない。