【韓国・江陵21日発】平昌五輪のフィギュアスケート女子ショートプログラム(SP)で宮原知子(19=関大)が自己ベストの75・94点をマークし、4位発進を決めた。

 宮原にとって一番の課題は冒頭の3回転ルッツ―3回転トーループの連続ジャンプだった。11日の団体戦SPではいずれも回転不足を取られたが、10日間でしっかり立て直した。

「トーループはしっかり降りれたという感触はあった。(直前の)6分間練習のいいイメージを持ってグッと跳びました」。続くトーループの着氷は「ガッと降りました」。擬音を交えてジャンプの手応えを振り返った。

 課題のジャンプを乗り切れば、あとは“ノーミスの女王”が真価を発揮する。スピン、ステップでは最高評価のレベル4をしっかり獲得。後半の3回転ループ、ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)もクリーンに着氷した。

 得点が出ると「やっと75点台が出てくれた」と驚きと喜びの入り交じった表情を見せたが、まだ満足はしていない。「試合はフリーで決まるので、まだフリーがあると考えていました」。3位のケイトリン・オズモンド(22=カナダ)との差は3点弱。「もちろん、表彰台に乗れれば一番うれしいけど、自分が今まで頑張ってきたことをすべて出したいと思っています」と完全燃焼を誓った。

 運動は決して得意ではなく、球技は特に苦手。「あんまりパッとできるタイプではないのは自覚してます」。小学校低学年のころにはシングルアクセル(1回転半ジャンプ)の習得に約1年を要するなど、フィギュアでも他の選手に比べると時間がかかることが多かった。

 その差を埋めてきたのは誰にも負けない豊富な練習量。昨季の左股関節疲労骨折の影響でジャンプが跳べなかった時期も表現力の強化などに時間を費やした。諦めない心で見事に復活。五輪の舞台でメダルに手が届くところまでたどり着いた。積み重ねてきた努力のすべてをフリーにぶつける。