【フィギュア・アイスダンス】村元、リード組15位健闘も…日本のカップル競技強化が進まないワケ

2018年02月21日 16時30分

華麗な演技を披露した村元(右)とリード

【韓国・江陵20日発】日本のカップル種目はなぜ強化が進まないのか。平昌五輪フィギュアスケートアイスダンスのフリーで、ショートダンス(SD)15位の村元哉中(24)、クリス・リード(28)組(木下グループ)は97・22点をマークし、合計160・63点で15位だった。2006年トリノ大会に並ぶ過去最高順位となる大健闘を見せたが、大活躍のシングル勢と比べると見劣りするのは事実。その背景には“3つの壁”が立ちはだかっている。

 目標だったフリーの舞台に立った村元とリードは、万感の思いを込めた演技で観客を沸かせた。演技中に村元が衣装の両肩部分をはがすと、下に隠れていたピンクが現れ、桜が咲くまでの姿を表現。「今季のなかで一番落ち着いて、一つひとつのエレメンツを丁寧にこなせたので満足しています」と村元は誇らしげに胸を張った。

 今大会、村元とリードは存在感を放った。団体戦SDでは10か国中5位で、日本のフリー進出に貢献。個人戦でも日本アイスダンスの歴史に肩を並べた。日本スケート連盟の小林芳子強化部長(62)も団体戦の結果について「個人競技の結果のみならず、カップル競技の貢献による順位でもあると思っております。連盟として強化してきたカップル競技の底上げができたことは今後につながると思います」と一定の評価を下していた。

 とはいえ、やはりシングル勢との比較では物足りなさが際立つ。今大会で羽生結弦(23=ANA)、宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が男子の金銀を独占し、女子もこれまで世界のトップ選手と互角の勝負ができる選手を輩出し続けてきた。対照的にペアは今回も須崎海羽(18)、木原龍一(25)組(木下グループ)はフリーに進めず、日本はカップル種目で世界に水をあけられている。

 この状況はなぜ続いているのか。選手、国際審判員、解説者として長年、フィギュアスケートに携わる杉田秀男氏(83)は「男女で競技に取り組んで“2人の間に何かあったらどうするんだ”と親がやらせたがらない時代が長かった」とその理由を説明する。

 親たちの感覚も変化しているはずだが、影響は今も色濃く残っている。その一つが指導者不足。「全くいないわけではありませんが、やはり数が少ない。教える人がいなければ、選手も出てきません」。練習できるリンクも限られ「日本はリンクが少なく、そのほとんどをシングルの選手が使用する。やり方次第で、シングルの選手20人が同時に練習することもできますが、カップル種目は動きが全く違うので一緒にやることはできません」と現状にも触れた。

 練習環境が整う海外に拠点を移せば成績は上がるかもしれないが、杉田氏は「単純にいえば、費用がシングルの2倍かかる」。これに二の足を踏む選手、関係者は少なくない。強化へのハードルは必然的に高くなる。

 前回のソチ五輪から採用された団体戦で日本は2大会連続の5位。金メダルのカナダはアイスダンスでもテッサ・バーチュー、スコット・モイヤー組が2大会ぶりの金メダルに輝いたように、どの種目にも実力者がいる。メダルを狙うにはカップル種目の強化が不可欠だが、日本が真のフィギュア大国となるには一筋縄ではいかないようだ。