【フィギュア】宇野昌磨の団体戦SP出場は吉か凶か

2018年02月09日 16時30分

宇野は団体SP→個人戦の“王道”で金メダルを狙う。右は樋口コーチ

【韓国・江陵8日発】どちらが正解なのか。9日開幕の平昌五輪では、激戦が予想されるフィギュアスケート男子で有力選手たちの「ルート」に注目が集まっている。9日から始まる団体で、日本は男子ショートプログラム(SP)に宇野昌磨(20=トヨタ自動車)を起用した。右足首故障からの回復途上にある羽生結弦(23=ANA)は団体戦を回避。一方で四大陸選手権王者の金博洋(20=中国)は個人戦優先で欠場の見通しで、有力選手たちはそれぞれのルートでシングルの金メダルを狙う。

 団体戦の男子SPでは宇野、ネーサン・チェン(18=米国)が激突。両者ともSPのみの出場と見られ、ソチ五輪で羽生が金メダルを獲得したのと同じパターンだ。その羽生は右足首のケガからの復帰に向け団体戦には参加せず、個人戦に向けて調整している。世界選手権2度優勝のハビエル・フェルナンデス(26=スペイン)は自国が出場権を逃したため、団体戦は当初から予定にない。

 そうしたなか、自ら団体戦欠場を選ぶ形となるのが、直前の四大陸選手権で宇野を破って優勝した中国の金博洋だ。現地を訪れている中国メディアは「金は(団体戦の)フリーにも出ない」と言い切った。

 対照的に元世界王者でソチ五輪銀メダルのパトリック・チャン(27=カナダ)はSP、フリーともに出場の見通し。4年前には“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ(35=ロシア)がSP、フリーに出場し、団体金メダルに貢献したが、個人戦は腰のケガで棄権という例がある。

 前回ソチ五輪から始まった団体戦に出るのか、出ないのか? 個人戦に向けた調整という意味では大きな選択となる。元国際審判員でフィギュア解説者の杉田秀男氏(83)は「現地に入ると、氷上での練習時間がどうしても制限される。ホームリンクで直前まで調整したい選手は団体戦を欠場しているのではないか」と指摘する。団体戦と個人戦が続くのは五輪独自の試合形式。調整だけを考えれば、団体戦をパスする選択には十分にメリットがある。そのうえで「国や選手によって団体戦に対する価値観が違う」(杉田氏)。中国はペアの金メダル候補、隋文静(22)、韓聡(25)組も団体戦欠場が濃厚。「本来、団体戦での実力は同程度」だが、日本はほぼベストメンバー、中国は主力温存と全く違う起用法となった。

 一方で、団体戦に出るメリットもある。杉田氏によれば「五輪のリンクを経験できるのはプラス材料。初出場の選手は特にそうでしょう。同じ会場でも練習と観客が入った時では氷の温度も違うので、一度でも滑っていることは大きい」。いずれを選んだ場合でも、一長一短があるというわけだ。

 団体戦は参加10チームのうち、半分の5チームがフリーに進出する形式。日本の小林芳子監督(62)は「フリーに進むことが大きな目標。次に本人の希望、今のコンディションを考えて選びました」と宇野の起用理由を説明。出る選択をしたからにはそのメリットを最大限に生かして、個人戦の金メダルにつなげたいところだ。