【韓国・襄陽4日発】いよいよ決戦だ。平昌五輪に出場する日本選手団本隊の選手、関係者合わせて132人が、襄陽(ヤンヤン)国際空港に到着した。スピードスケートの金メダル候補・小平奈緒(31=相沢病院)に対しては、女子500メートルで五輪2連覇中の李相花(28=韓国)との対決について質問が飛ぶなど、韓国メディアも注目。世界を席巻する小平の強さはどこにあるのか。日本スケート連盟の橋本聖子会長(53)が分析した。

「五輪は選手をドキドキ、ワクワクさせてくれる大会なので、今まで以上にその瞬間を味わいたい」。3度目の五輪に挑む日本選手団主将の小平は晴れやかな表情で、現地に降り立った。

 女子500メートルではW杯などの国際大会を含め、驚異の24連勝中。1000メートルでは昨年12月に世界記録を更新と、短距離2冠の期待がかかる今大会の主役の一人だ。韓国でも五輪3連覇の偉業がかかる李のライバルとして注目度は高い。襄陽国際空港では韓国メディアから、李についての質問を受けた。

 五輪のフィギュアスケート女子でメダルを争った浅田真央(27)とキム・ヨナ(金妍児=27、韓国)のような“対決ムード”をあおる雰囲気だったが、小平は「すごくいい選手なので、勝つというよりも、すごく熱い戦いをしたい」と冷静に対応。改めて聡明さを印象づけた。

 実は、こうした冷静な自己分析や判断力が小平の強さの秘密だという。近年の飛躍においては前回ソチ五輪後のスケート王国・オランダへの2年間の留学が注目されるが、1992年アルベールビル五輪スピードスケート女子1500メートル銅メダリストの橋本会長は「個人でも、チーム単位でも、オランダに行った選手はこれまでもたくさんいるんです。ただ、彼ら、彼女たちがものすごく強くなったかといえば、そんなことはない」と指摘する。

 身長170センチ以上の大型スケーターが揃うオランダ流が、165センチの小平や小柄な日本人選手に必ずしも合うわけではない。「その中で、何が日本人に合うのか、自分に合うのかを小平選手自身がよく分かったうえで、何が足りないかも理解している」

 日本で長年取り組んできた練習法とオランダのやり方を賢く“いいとこ取り”した結果が現在の圧倒的な強さにつながっている。「五輪の申し子」と呼ばれた橋本会長はそう分析する。

 小平は「1月はチームメートと充実したトレーニングができた。エムウェーブ(長野)では練習での自己ベストを出すことができたので、本番がどうなるかすごく楽しみです」とさらなる進化に手応え十分。主将として日本選手団を引っ張る活躍を誓った。