平昌五輪代表の最終選考会を兼ねたフィギュアスケートの全日本選手権(東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)の男子ショートプログラム(SP)が22日に行われ、連覇がかかる宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が96.83点で首位に立った。先日のグランプリ(GP)ファイナルに続き、ジャンプにミスが出て不満を口にする内容。今大会欠場の羽生結弦(23=ANA)とともに代表入りは確実だが、約2か月後の本番に不安を残した格好だ。

 平昌五輪ではメダル候補どころか、有力な金メダル候補にまで成長を遂げた宇野にとって、SP首位とはいっても喜べる結果ではなかった。「大きな得点源」だったはずの4回転―3回転の連続ジャンプは後半が1回転となるミス。きれいに着氷したかに見えた冒頭の4回転フリップ、終盤のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)についても「ベストからはかけ離れている」と厳しく自己評価した。

 直前の6分間練習でジャンプが決まらず「気合を入れないといい演技ができないと思った」。強い気持ちを持ったことで「この程度(のミス)で済んだのか、空回りしたのかは分からない。練習通りに自分の良さを出すのが課題」と、反省の言葉が続いた。

 昨年の全日本ではやはり羽生不在で初優勝。絶対的本命と目されたが、4回転ジャンプで転倒するなど、SPでミスが重なり2位からの逆転Vだった。全日本は世界選手権などを経験した選手にとっても独特の雰囲気があるとされる。今年は五輪の代表選考も兼ねており、宇野は「一番大事な試合」と繰り返してきた。「集中していないとか、仕上がっていないというわけではないけど、うまくいかない。これが皆さんが言う“全日本は難しい”というものなのかもしれない」。演技を終えた直後ということもあり、ミスの原因を分析し切れていない様子を見せた。

 常に新たなジャンプや構成に取り組み、挑戦をテーマに掲げるが、試合では追われる立場。国内ではその色合いは濃くなる。羽生不在となればなおさらだ。昨年の全日本、さらに2週前のGPファイナルに続いて不満の残る内容に「満足いく演技をいい加減したい」と意外なほど不安を口にした。

 世界のトップが顔を揃える平昌五輪では心理的に挑戦者に戻れるのか、それとも不安を引きずったままなのか。まずは24日のフリーで会心の演技を見せ、気持ち良く、直後の代表発表を迎えたいところだ。