【フィギュア】羽生に全日本選手権欠場のススメ

2017年12月11日 16時30分

氷上練習が再開できていない羽生。五輪連覇へ試練の時を迎えた

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯(11月)の練習で右足関節外側靱帯を損傷した羽生結弦(23=ANA)が、21日開幕の全日本選手権(東京)を欠場する可能性が出てきた。羽生は10日、日本スケート連盟を通じてコメントを発表。「まだ氷上練習はできていません」と明かし、当初の予定より回復が遅れていることをうかがわせた。大目標の五輪連覇へ向けて、全日本を欠場しても大丈夫なのか? 専門家の見通しは――。

 GPファイナル(名古屋)から一夜明け、報道陣の取材に応じた日本スケート連盟の小林芳子強化部長(61)が代読する形で羽生のコメントは発表された。「だいぶ良くなりましたが、まだ痛みがあるため氷上練習はできていません。治療とリハビリを頑張っています」

 羽生がジャンプで転倒して右足首を負傷をしたのは、NHK杯の前日練習が行われた11月9日。当初は10日間の安静を経て「3~4週間で元に戻る」見通しだった。おおよそ10日プラス3週間が経過した段階で氷上練習を行えていないとなると、回復は遅れ気味と思わざるを得ない。

 今年6月に発表された選考基準では、世界選手権3位以内の実績を持つ選手は、全日本を欠場しても平昌五輪の代表選考の対象になる。羽生の代表入りは確実だけに、小林強化部長からは「全日本に出てくれればうれしいが、それが今後にどう影響するか、連絡を密に取りながら詰めていきたい」と欠場を示唆するような発言も出た。

 この発表を受け、元国際ジャッジでフィギュア解説者の杉田秀男氏(82)は「人づてですが『氷に乗り始めた』と聞いていたので残念というか、少し驚きました。全日本に出なくても五輪には行けるのですから、私は欠場を勧める」と話す。

 なぜか。羽生は十分な経験と技術を持つだけに「試合間隔が空くことは心配していませんが、どこかに不安がある状態で試合をすれば、リズムが崩れる恐れがある」。コンディションが万全になるまで、欠場を続けるべきというのが杉田氏の考えだ。仮に、ここからぶっつけで五輪本番となっても「体調さえ良ければ、力を発揮できる」と見ている。

 羽生自身の資質と同時に名コーチの存在も大きい。「コーチのブライアン・オーサー(55)は元世界王者ですが、すぐに勝てたわけではなく、何度も2位を経験した。それだけに選手の気持ちが理解できるし、さまざまな状況でいかに試合に臨むかを教えることができる」。オーサー・コーチは技術面だけではなく、羽生の精神的な支えになっており、今回の試練でも大きなバックアップが期待できるという。

 羽生は昨年の全日本をインフルエンザで欠場しており、今年もとなれば2年連続。全日本での復活を期待していたファンは残念かもしれないが、連覇がかかる平昌五輪に向け、コンディションの回復が最優先すべきテーマのようだ。