“ロシアショック”を振り払えるか。フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(8日、愛知・日本ガイシホール)女子ショートプログラム(SP)では、宮原知子(19=関大)が自己ベストに迫る74・61点で3位と好発進。そうしたなか、平昌五輪からロシア選手団が除外されたことを受け、異様なピリピリムードが続いている。

 会心の演技を見せたのは宮原だった。緊張感のある1番手で登場し“ノーミスの女王”との異名通り、ほぼ完璧な演技を披露。昨年のGPファイナルでマークした自己ベスト74・64点に迫る高得点で完全復活を印象付けた。

「(復帰戦だった11月の)NHK杯は調子が上がり始めたところだったけど、そこから少しずつジャンプの精度が上がってきて、今度こそ試合で成功させたいと思っていた」と手応えを口にした。

 女子はSPを終えて首位から最下位の6位までの差が4点余りという大接戦。ジャンプで細かなミスがあり、73・26点で5位となった樋口新葉(16=日本橋女学館高)もフリー(9日)次第では十分に表彰台が狙える。

 代表選考については「全日本選手権(21日開幕)で決まるので意識していない」(宮原)と話したものの、ファイナルの切符をつかんだ2人にとっては大きくアピールするチャンスだ。

 ただ、リンクの外では“ロシアショック”により騒がしいまま。ロシアはドーピング問題で国際オリンピック委員会(IOC)から平昌五輪への選手団派遣が禁止されたが、ボイコットは回避して個人資格での大会出場を認める方向となった。8日には、前日の記者会見でのミハイル・コリャダ(22=ロシア)のコメントに誤訳があったことが主催者から発表された。IOCの判断について、通訳が「ロシアの犯したことを考えれば、当然の措置」と訳した部分が「ロシア選手が出場できるのは正しい判断だったと思います」と訂正されたのだ。

 この問題を受け、この日は別の男性通訳が会見を担当。大会のメディア担当者は「混乱を招かないため」とその理由を説明した。この日は女子SPで2位のアリーナ・ザギトワ(15=ロシア)にも同様の質問が飛んだが「その件についてはノーコメント」。ロシア選手たちの発言は慎重さを増している。

 女王エフゲニア・メドベージェワ(18)を擁し、フィギュア女子では“最強”を誇るロシア勢だけに、今大会にも重苦しい空気が漂う。SPでは影響を感じさせなかったが、ロシア勢の動向が宮原ら日本勢の今後に大きく関わってくることは間違いない。