【フランス・グルノーブル17日(日本時間18日)発】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦フランス杯初日、男子ショートプログラム(SP)が行われ、第2戦のスケートカナダに続く優勝を狙う宇野昌磨(19=トヨタ自動車)は冒頭の4回転フリップで転倒し、93・92点で2位発進した。ハビエル・フェルナンデス(26=スペイン)が107・86点でトップに立った。

 演技を終えると、しばらく宙を見つめていた。「練習で失敗していたジャンプがそのまま出た感じ。跳べる気が全くしなかった。すごくつらく、苦しかった」と演技を振り返った。

 冒頭の4回転フリップで転倒。回転も不足し、得点を稼げなかった。後半の4回転―3回転の連続トーループは成功。トリプルアクセル(3回転半)はバランスを崩したがなんとかこらえた。スピン、ステップは最高評価のレベル4で地力を見せたが、ジャンプのミスが響き93・92点。9月のロンバルディア杯でマークした自己ベストの104・87点より10点以上も低い得点だった。

 10月末のスケートカナダ後にインフルエンザを発症。39度近い高熱で4日間寝込み、一時は体重が2キロほど減った。練習を再開できたのは大会約1週間前。前日の公式練習でも4回転ジャンプの調子が上がらなかった。「調子が悪い中でもいい演技ができるように努力したい。焦りはない」と意気込み試合本番に臨んだが、体調不良の影響がそのまま結果に表れた格好だ。

 5大会連続で300点超えを果たし、安定感が最大の武器だった宇野にとっては、予期せぬ試練だ。首位に立ったのは元世界選手権覇者・フェルナンデス。4回転―3回転の連続ジャンプや4回転サルコーをきれいに決める今季ベストの高得点で、14点近い差をつけられた。また、本調子ではないなかシリーズ上位6人が出場できるGPファイナル(12月、名古屋)出場には、3位以内を確保する必要がある。「フリーはもう少し笑顔が出るような演技をしたい」と気を吐いた宇野。底力を見せるつもりだ。