【カナダ・レジャイナ28日(日本時間29日)発】“羽生のライバル”と“ポスト真央”に明暗くっきり…。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ・スケートカナダ最終日、男子でショートプログラム(SP)首位の宇野昌磨(19=トヨタ自動車)がフリーでもトップの197・48点を叩き出し、合計301・10点で優勝した。一方、女子でGPデビュー戦の本田真凜(16=大阪・関大高)は合計178・24点の5位。SP10位から巻き返したが、GPファイナル(12月7日~、名古屋)進出は厳しくなった。

 2位とは約40点差。5大会連続となる300点超えを果たした宇野が圧倒的な力を見せつけた。午前中の公式練習から体が重く、絶好調ではなかった。体力的に厳しくなる演技後半の4回転フリップは着氷が乱れ、続く4回転トーループは回転不足で氷に手をついた。それでも「とりあえず全力で、ここで死ぬつもりで耐えよう」と腹をくくり、その後の3つの連続ジャンプはすべて成功させた。

 今季の目標は打倒・羽生結弦(22=ANA)。絶対王者への挑戦者1番手であることを示す意地の演技を見せた。大きなミスが2つあったのに加え、今大会では4回転サルコーを封印しており、まだ点数面で伸びしろは十分にある。順調にいけば今季初の直接対決となる12月のGPファイナルは、宇野の地元・名古屋での開催。「SP、フリーでしっかり演じきれるように体力強化が一番の課題」と“羽生超え”へさらなるレベルアップを誓った。

 一方、今年4月に引退した浅田真央(27)に代わり、注目を集める本田はミスを連発したSPとは一転、フリーは大きなミスなく演じきった。笑顔で採点を待ったが、表示された得点は125・64点(フリー3位)。「点数はあんまりかなと思うけど、演技自体は自分の中で満足いくものができた」。国内でもトップ選手はSP70点台、フリー140点台の争いを繰り広げている状況で、本人の想像以上に得点は伸びなかった。

 この結果、ファイナル進出に早くも黄色信号。GPシリーズには各選手が2大会に出場し、成績をポイント化した上位6人がファイナルに進む。ここ数年のデータでは次の中国杯(11月3日~)で優勝しても上位6人に入るのは厳しい状況だ。

 中国杯は、来年の平昌五輪出場を争うライバルとみられる三原舞依(18=シスメックス)と樋口新葉(16=東京・日本橋女学館高)、昨季の世界ジュニア選手権で本田を破って優勝したアリーナ・ザギトワ(15)ら3人のロシア勢など強豪揃い。順調に五輪シーズンのスタートを切った19歳の宇野とは対照的に、16歳の本田はいきなり正念場を迎える。