フィギュアスケートの世界選手権が29日にフィンランド・ヘルシンキで開幕する。一昨年の世界選手権で銀メダルを獲得した日本のエース、宮原知子(19=関大)が故障で欠場。2018年平昌五輪出場枠で最大の「3」確保へ暗雲が漂うなか、日本の3人娘は女子フィギュアならではの異様な重圧克服が大きなカギとなりそうだ。

 難題に挑戦するのは2月の四大陸選手権(韓国・江陵)で優勝した三原舞依(17=神戸ポートアイランドク)、同9位の樋口新葉(16=東京・日本橋女学館高)、宮原の代役の本郷理華(20=邦和スポーツランド)だ。

 上位2選手の順位の合計が「13」以内で平昌五輪の3枠を獲得できる。「日本の五輪出場枠確保のため」という、すさまじいプレッシャーがのしかかる難しい大会。特に女子フィギュアは五輪の花形種目で、日本では国民的関心事と言える。エース不在で3枠を狙う3人娘の精神的負担は計り知れない。

 26日には三原が関西空港から、樋口が成田空港からフィンランドへと出発した。好調の三原同様、期待が高まるのが樋口だ。四大陸選手権では「今までにないぐらい思うように滑れなかった」と三原に差をつけられたが、昨年末の全日本選手権では三原の3位を上回る2位だった。

 樋口は「今回は結果を求められる大会。気負いすぎてしまうと良くないので、何も考えず思い切り滑りたい。3枠(確保)は本当に難しいことだと思うが、できる限りのことをやって結果を出せばついてくると思う」と神妙な面持ちで話した。特殊な舞台とあって気持ちのコントロールを重要視。「練習からメンタル面を意識してやってきた。練習で曲をかけたら絶対に失敗しないこと、もし失敗してもあきらめないということを徹底した」と練習から本番さながらのプレッシャーを自らにかけ続けたという。四大陸選手権での苦い経験を反省材料にして本来の実力を発揮するつもりだ。

 日本スケート連盟の小林芳子フィギュア強化部長(61)によれば、補欠だった本郷も国際大会に出場し練習を継続しており、ブランクはないという。「どんな形でもいいので、3枠を取ってほしい。サポートを引き続き、頑張りたい」(小林強化部長)。2006年トリノ五輪から3枠を死守してきた日本女子の底力が問われそうだ。