【GPファイナル】羽生圧巻首位 大会初の偉業4連覇に王手

2016年12月09日 16時30分

前人未到の4連覇へ、羽生がSP首位発進を決めた(ロイター)

【フランス・マルセイユ8日(日本時間9日)発】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル初日、男子ショートプログラム(SP)が行われ、羽生結弦(22=ANA)が今季世界最高の106・53点を叩き出し、首位に立った。2位のパトリック・チャン(25=カナダ)とは6点以上の差。男女を通じて大会初となる4連覇の偉業に王手をかけた。

 

 リンクは異様な雰囲気に包まれていた。1番手の現世界王者ハビエル・フェルナンデス(25=スペイン)がトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒すると、3番手の宇野昌磨(18=中京大)、4番手のネイサン・チェン(17=米国)もジャンプで転倒。ファイナルに進出した世界のトップ6にミスの連鎖が起きた。

 

 そんななか、最後に登場した羽生にもいきなり危ない場面があった。冒頭の4回転ループでバランスを崩す。それでも、なんとか踏ん張って着氷すると、ここから雰囲気は一変する。

 

 続く4回転サルコー―3回転トーループの連続ジャンプを決めると、最後のジャンプ、トリプルアクセルも見事に着氷。先月のNHK杯から着用する紫の衣装で、故プリンスさんの「レッツ・ゴー・クレイジー」に乗り、ロックスターを演じ切った。

 

 それでも満足できないのか、演技直後は会心の笑顔とはいかず、微妙な表情。リンクを降りる直前、ブライアン・オーサーコーチ(54)の顔を見ると、ようやく笑顔がはじけた。

 

 やはりミスのない演技を見せたチャンとの差は6・77点。昨年のGPファイナルでマークした自己最高の110・95点には及ばなかったが、6人中唯一100点超えの高得点で首位に立った。

 

 羽生は昨年、男子初となる大会3連覇を達成。女子ではイリーナ・スルツカヤ(37=ロシア)の3連覇(1999~01年)があるが、シングル4連覇は前人未到の快挙だ。

 

 それでも羽生は開幕前「昨年に比べて今回は重圧がない」とコメント。その言葉通りノーミスに近い演技で、他の選手を圧倒した。

 

 大会4勝はエフゲニー・プルシェンコ(34=ロシア)に並ぶ最多タイ(女子ではスルツカヤ、浅田真央が4勝)。7日に22歳の誕生日を迎えたばかりだが、早くも伝説的な名選手たちに肩を並べつつある。

 

 フリーは1日空いて10日(日本時間11日)に行われる。羽生が演じるのは4度の4回転ジャンプに加え、後半に2度のトリプルアクセルからの連続ジャンプが入る超高難度のプログラム。NHK杯では転倒がありながら197・58点の高得点をマークした。

 

 進化を続ける絶対王者はこの2週間でより完成度を高めてきたはず。4連覇へ死角はなさそうだ。

 

【羽生の話】「久しぶりに手足が震えるぐらい緊張していた。“汚い”4回転ループで緊張がいい具合にほぐれた。NHK杯で殻を破れたので、より楽しみながらできた。(フリーに向けて)集中力を保っていきたい」

 

【宇野は4位発進】昨年3位の宇野はジャンプで転倒し、86・82点の4位と厳しいスタートとなった。

 

 転倒があったのは連続ジャンプの4回転トーループ。これにより、プログラムに連続ジャンプがない形となり、得点に大きく響く手痛いミスとなった。

 

 それでも、前日の公式練習で不安定だった冒頭の4回転フリップには成功。転倒以外には大きなミスもなく、3位のフェルナンデスとは5点弱の差で、2年連続の表彰台を狙える状況だ。

 

 ただし、気になるのはコンディション。演技後は疲労困ぱいでケガなどのアクシデントがあったのではと心配になるほど、ふらつきながら採点を待つキスアンドクライにたどり着いた。

 

「昨年とは違い、完璧にやってもトップ選手には勝てないという状態ではない」と自信を持ってフランスに乗り込んできただけに、本来の力が発揮できなかったSPは悔しさが残る。1日空く日程を生かし、万全の状態でフリーに臨みたいところだ。