【フィンランド・エスポー7日(日本時間8日)発】フィギュアスケートの国際大会「フィンランディア杯」の女子フリーが行われ、前日のショートプログラム(SP)2位の浅田真央(26=中京大)は121・29点で、合計186・16点の2位に終わった。調整中のためトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を封印して臨んだ今季初戦。惜しくも逆転優勝はならなかったものの、リニューアルした華麗な大人の演技を披露し、2018年の平昌五輪に向け完全復活を予感させる好スタートを切った。

 真央は少し緊張した表情でリンク中央に立つと、SPのフィニッシュポーズからフリーの演技を開始した。何度も披露しているSPとは違いフリーは初実戦。それでも伸びやかな滑りで冒頭のダブルアクセルを成功させると、観客席から大きな拍手と歓声が巻き起こった。

 今季の真央はSPとフリーでスペインの作曲家ファリャの「リチュアルダンス」を使用するプログラム。SPは黒の衣装で「ミステリアス」(真央)な演技を見せ、この日は「情熱的にやりたい」と、真っ赤なドレスで登場。SPではピアノ演奏だったものを、この日はオーケストラバージョンでメリハリをつけ、2日間の演技で一つのストーリーを表現してみせた。

 ただ、3回転ルッツはエッジエラーで減点。後半の3回転フリップは不発で2回転と、ジャンプに関しては精度を欠く部分があった。まだまだ滑り込みが足りず、スピンやステップも「完璧」とはいえなかった。しかし、それでもスピード感のあるスケーティング、体全体を大きく使った流れるような表現力など、円熟味を増した真央らしい滑りで約4分間の演技を終えた。

 キスアンドクライに入ると、ようやく笑みを浮かべて手を振った。注目の得点が出ると、のぞき込むようにスコアを確認し、2度うなずいた。真央は「フリーは初めて滑ったせいか、余裕がない感じがあった。試合勘が薄れていく中で本番の緊張感もあり、うまくコントロールできない部分もあった」と振り返った。

 技術点(TES)はジャンプミスなどが響いて56・08点でこの日、優勝したケイトリン・オズモンド(20=カナダ)の60・59点に次ぐ2位。演技構成点(PCS)は65・21点で貫禄のトップ。オズモンドに3・26差をつけた。ミスは出たものの、トリプルアクセルを封印して臨んだ現状では、まずまずのデキといえる。

 復帰2シーズン目で新プログラムでの初戦。SP3位のオズモンドに逆転されて優勝こそ逃したものの、平昌五輪に向けライバルとなるロシア勢のなかでも昨季の世界選手権銅メダリスト、アンナ・ポゴリラヤ(18)に競り勝ったのは、ジャンプミスがあった中でも大きな成果といえるだろう。

 特に代名詞のトリプルアクセルを使わずに互角に戦えたのは収穫だ。今後のグランプリ(GP)シリーズを前に、真央は「まだまだ滑り込みが必要。練習を積んで追い込んでいけば、いろんな感覚は自然に出てくるもの。失敗は次に生かしたい」と巻き返しを誓った。元世界女王は完全復活への確かな手応えをつかんだようだ。

 またフィンランディア杯で今季初戦を終えた真央の次戦は、GPシリーズ初戦のスケートアメリカ(21日開幕、シカゴ)の予定。その後はGPのフランス杯(11月11日開幕、パリ)に臨み、成績次第でGPファイナル(12月8日開幕、フランス・マルセイユ)に進む。

 年内最終戦は全日本選手権(12月22日開幕、大阪)を予定している。年が明けてからは、四大陸選手権(2017年2月15日~、韓国・江陵)、世界選手権(同3月29日~、フィンランド・ヘルシンキ)などへの出場が見込まれている。