羽生 GPファイナルにテロの脅威

2015年11月30日 16時00分

エキシビションでも貫禄の演技を披露した羽生

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦「NHK杯」(長野・ビッグハット)で、羽生結弦(20=ANA)は322.40点の世界最高得点をたたき出して優勝を飾り、世界中を驚かせた。一夜明けた29日はエキシビションに登場し、貫禄の演技を披露。次戦は「GPファイナル」(12月10日~、スペイン・バルセロナ)で3連覇に挑むが、同大会では“超厳戒態勢”で臨むことが予定されている。

 

「昨夜は興奮して寝られませんでした」。27日のショートプログラム(SP)、28日のフリーをノーミスで演じ、いずれも世界最高得点を更新。驚異的な322.40点での優勝で、“絶対王者”を目指す羽生にとっても今大会は特別な一戦となった。

 

 それでも、すべてに満足しているわけではない。すでに自身の演技を映像で確認しており「ステップでの手の動き、体の使い方はもっと洗練させられる。後半の4回転は『跳ぶぞ』って、入ってる感覚がある。見ている方がハッとならない入り方をしたい」とさらなる課題を口にした。

 

 注目の次戦は、羽生を含め男女5人の日本勢が出場する「GPファイナル」。羽生は再び“絶対王者”たることを証明するが、懸念材料はリンク外にある。この大会はシリーズ第4戦「フランス杯」の開催期間中に起きたパリでの同時多発テロを受け、厳戒態勢の中で行われるからだ。

 

 日本スケート連盟ではGPシリーズ第5戦「ロシア杯」の時点で、文書により注意を喚起している。「不要不急の外出は控えること、外出の際には代表チームのジャージーを着用しないことなどが盛り込まれている」(日本スケート連盟・小林芳子フィギュア強化部長)

 

 そんななか、意外な懸案事項となっているのが、会場への移動だ。通常は選手、関係者専用のバスが用意されるが、今回の「GPファイナル」では宿泊施設―リンク間がわずか3分の距離にあるため、徒歩での移動となっているのだ。

「メディアのカメラも待ち構えていますし、代表チームのジャージーを着て会場入りしたいのですが…。今後の状況を見てからの判断になると思います」(小林強化部長)。スペイン政府は国内のテロの脅威度について5段階中の4(高い脅威)を維持している。在スペインの日本大使館からもテロへの注意喚起が出ているだけに、外務省などと連携を取りながら「安全第一」で方針を固めていくという。

 

 特殊な環境での戦いとなりそうだが、羽生にとっては男子初の「GPファイナル」3連覇がかかる大きな舞台。「自分の記録を超えていく」と伝説をつくった「NHK杯」を超える完成度の演技を誓った。