フィギュアスケート界が「真央景気」に沸いている。約1年の休養を経て現役続行を決めた浅田真央(25=中京大)が「ジャパンオープン2015」(3日、さいたまスーパーアリーナ)で復帰。同大会の約1万5000席のチケットは早々に完売しており、変わらぬ人気者ぶりを証明した一方で、フィギュア界の“真央頼り”も改めて浮き彫りとなった。

 まさに空前の真央景気だ。10年目を迎えた今大会だが「おそらく今回が一番チケットが売れたんじゃないですかね。発売直後から出足好調でした」と大会関係者はホクホク顔。用意していた1万5000席は完売し、当初は記者席にする予定だったスペースの一部を客席として一般販売する異例の対応を取るほどだった。真央が欠場した昨年は空席がチラホラ見られただけに、フィギュア人気を誰が支えているのかは明白だ。

 さらに大会冠スポンサーの「木下グループ」を除いた協賛企業には、ずらりと真央のスポンサーが並ぶ。前出の関係者は「実を言うと、チケット以上に協賛枠の方がすぐに埋まったんですよ」。2日の前日練習の時点で会場には“真央の大会”という雰囲気が漂った。

 もちろん、復帰の影響は他の大会にも及んでいる。真央に加え、羽生結弦(20=ANA)も出場するグランプリシリーズ・NHK杯(11月27~29日、長野・ビッグハット)の会場周辺のホテルはチケット発売前から満室。今月発売の全日本選手権(12月25~27日、札幌市・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)のチケットも争奪戦となることが確実だ。

 いずれも、国民的ヒロインの復帰がなければ考えられなかった状況。真央人気の高さと同時に、フィギュア界に次のスターが育っていないことを物語っている。

 肝心の真央が今大会で不本意な演技に終われば、そんなフィーバーも吹き飛びかねないが、前日練習では絶好調。代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は3回とも成功させ「休養前と何を変えたわけじゃないけど、楽に跳べるようになりました」と手応え十分だ。

 5月の現役続行会見では「最低でも昨年の世界選手権のレベルに戻らなければ、試合には出られない」と話していたが、「アクセルとルッツは以前よりもいい質で跳べている」とレベルアップを強調。フィギュア界にとって“真央さまさま”のシーズンが開幕だ。