決め手は「いつも通り」だった。フィギュアスケートで現役続行を決めた浅田真央(24=中京大)の復帰戦が10月3日の「ジャパンオープン」(さいたまスーパーアリーナ)に決定。約1年半ぶりの実戦となり、佐藤信夫コーチ(73)によるとローリー・ニコルさん振り付けの新フリーを披露する。

 これで、来年3月の世界選手権(米国)代表最終選考会を兼ねる年末の全日本選手権(札幌)1次予選の中部選手権(9月25日~、愛知)は免除になった。各予選の前後1週間に国際連盟公認大会の派遣期間が重なる場合は日本スケート連盟の規定で免除となるためだ。真央にとっては復帰初戦をジャパンオープンか中部選手権にするかの選択だったが、あえて国際舞台を選んだ格好だ。

 ジャパンオープンは日本、北米、欧州3地域のプロ・アマ男女混合によるチーム対抗戦。国際スケート連盟(ISU)の公認大会でショー的要素もあるが、有名選手が集まる。世界的な注目度や観客数、ライバルの実力からいえば、中部選手権のほうが重圧がかからなそうなもので、実力的にも真央の勝利はほぼ間違いない。関係者の話を総合すると、国際舞台を選んだ真意は「いつも通りにやる」ということを重要視したからだという。

 早くからトップで活躍してきた真央にとって、地区大会はあまりなじみのない場所。いくら地元とはいえ環境、ジャッジなどすべてにおいて、中部選手権のほうが“異空間”になる。例年通りのペースを守ることで、復帰イヤーを落ち着いて迎えるという判断だ。

 2次予選の西日本選手権(10月31日~、愛知)も、GPシリーズの中国杯(11月、北京)と重なるためこちらも免除。これで全日本選手権出場が可能になった。復帰イヤーは慣れ親しんだ国際舞台から勝負に挑む。