フィギュアスケートの世界選手権(フランス・モンペリエ)の女子ショートプログラム(SP)が開幕日の23日に行われ、北京五輪銅メダルで日本期待の坂本花織(21=シスメックス)が80・32の高得点をマークし、首位発進を決めた。

 今大会はウクライナ侵攻のロシア勢が除外。坂本は金メダル候補として最終グループ3番滑走で登場した。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)をきっちり着氷させると、その後も3回転ルッツ、基礎点が1・1倍になる後半にはフリップ―トーループの3回転連続ジャンプを成功させた。すべてのジャンプで出来栄え点(GOE)の加点を引き出し、スピンとステップもレベル4を獲得。困難から解放される喜びを表現したSP曲「Now We Are Free」に乗り、完璧に演じ切った。

 試合後、自身の演技を「今日はすごくスピードにも乗れていたし、ジャンプもちょっと危なかったけど、何とかハマった。今回のショートはすごく満足いっています」と満足げ。得点を待つキス・アンド・クライで唯一の80点台が表示されると、両手と両足をバタバタさせて感情を爆発させた。

「まさか(80点に)乗ると思ってなくて。すごいビックリして、とっさに出ました。なんか驚き、喜び、驚き、喜び…みたいな感じで、交代に脳内を駆けめぐった感じ。メチャクチャうれしいです」

 北京五輪では目標の表彰台に立ったが、満足感と同時に悩みも抱えた。五輪のメダルを「人生においての一番の目標」と表現した坂本は「その夢がかなって、本当にこれからどうしていこうか、初めてすごく悩んだ。メダルを取ってうれしい気持ちもあるんですけど、すごく重荷に感じてしまう場面もあって、この3週間はホントにうまくいかないことの方が多かった」と本音を漏らした。

 自分を見失いながらも来年の世界選手権の日本勢の「枠取り」に集中。「とにかく今年は余裕を持って3枠を持って帰れるように」と言い聞かせた上で「いつも世界選手権では不完全燃焼で終わっている。今年こそはショートとフリーをしっかり揃えてパーフェクトに終わりたい」とシンプルな目標を立てた。

 狙うは2014年の浅田真央以来となる日本人女子金メダル。26日のフリーへ向けて「ちょっと後半が体力的にきついなって最近、感じてきているので、その後半を何とか乗り切れるように明日しっかり調整して、本番でしっかりできるように」と気合を込めた。