フィギュアスケート・浅田真央(24)の現役続行表明が世界中に大きな反響を呼んでいる。なかでも、真央とライバル関係にあったバンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ(24)がいる韓国は敏感に反応。元世界女王のリンク復帰を疑問視する人が多くいる一方で、真央の存在が2018年の平昌五輪に絶大な影響を及ぼすとも指摘されている。どういうことか?

 真央の現役続行が韓国で報じられると、ネット上では応援するコメントがある一方で「キム・ヨナがいなくても勝てない」「何のために復帰するのか」といった感情的な書き込みも目立った。

 韓国では反日感情もあってあまり好意的には受け取られていないようだが、真央のカムバックに期待せざるを得ない事情もある。真央は18日の会見で明言しなかったものの、本格的に国際大会に復帰すれば当然、2018年平昌五輪が視野に入ってくる。フィギュアスケート関係者はこう指摘する。

「平昌五輪に浅田が出ることになれば、日本からもたくさんの観客が訪れる。高額なチケットも安定して売れる。大会関係者は大歓迎ですよ」

 会場となる江陵のアイスアリーナは1万2000人収容。4年に一度の冬季スポーツの祭典だけに、昨年のアジア大会(韓国・仁川)のように会場がガラガラになることはないだろう。だが、「地元の顔」で国民的ヒロインのキム・ヨナは昨年のソチ五輪を最後に引退した。平昌五輪の広報大使を務めているものの、どれだけ韓国でフィギュア競技に関心が持たれているかは疑問。しかも、団体戦が加わりチケット数が以前よりも増えている。

“頼みの綱”は日本のフィギュアスケート人気だ。日本と飛行機で約2時間の距離で費用も安い。もともと、日本から多数のファンが訪れることを予想しており、運営方法を知るため日本開催の国際大会に韓国から視察団が来ていたほど。圧倒的な人気を誇るソチ五輪男子金メダリストの羽生結弦(20=ANA)に真央が加われば、まさに“鬼に金棒”だ。

 さらに平昌五輪に向けてはスポンサー獲得が難航。財政難から競技施設の完成が遅れ、不安視されている。世界的にも知名度のある真央の現役続行は、そうした面の解消にもつながってくる。真央の競技復帰がおもしろくなくても、自国のビッグイベント成功には真央人気が不可欠なのだ。

「100%復帰するつもり」という現役続行表明から一夜明けた19日、真央は横浜市内で練習。休むことなく体を鍛えた。フィギュアの申し子の活躍をひそかに応援する関係者が、お隣にもたくさんいそうだ。