黙ってはいられなかった。北京五輪フィギュアスケート女子ロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)を巡るドーピング問題で、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長がROCコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏を批判したことに、今度はロシア側が反論した。

 バッハ会長は、IOCの会見でワリエワについて「悲しいストーリー。彼女がリンクの中で苦しみ、苦しい中で演技を立て直そうとしていた」と胸中をおもんぱかる一方で、演技後に涙を流すワリエワを冷遇したトゥトベリーゼ氏には「冷ややかな対応。こんなにも自分たちのアスリートに対して冷たい態度を取れるものなのか」と名指しこそ避けたものの厳しく糾弾した。

 この発言はロシア側を大いに刺激。英紙「ミラー」によると、同国のドミトリー・チェルニシェンコ副首相が「これは率直に言って不適切な発言。間違っている」と反論。さらに「IOC会長が、われわれのアスリートの感情について彼自身の架空の物語を織り成し、それらをIOCの公式声明として提示するのを見て深く失望した」とバッハ会長の〝妄言〟とまで指摘しているという。

 副首相は「五輪はプロスポーツの最高峰。選手一人ひとりが国民全体の夢と希望を背負っていることを誰もが認めている。選手はそれで闘志を燃やし、前に進む原動力となる」とも語っていると伝えているが、いずれにしても問題がドロ沼化の様相を呈してきた。