さらなる飛躍を感じさせる演技だった。北京五輪のフィギュアスケート男子フリー(8日、首都体育館)、ショートプログラム(SP)3位スタートの宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が187・10点をマーク。合計293・00点で銅メダルを獲得。銀メダルに輝いた前回の平昌五輪に続き、2大会連続で表彰台に立った。

「五輪が最終目標ではない」。銅メダルを手にしても、宇野の表情は引き締まっていた。「ちゃんと次につながる演技を」との思いで挑んだフリーは、冒頭の4回転ループをきっちり着氷。4回転サルコー、4回転フリップは精彩を欠いたが、その後は立て直した。演技後には「再びこの場所に立てていることにうれしく思う。1年前はここに立てるような存在ではなかったので、この順位というのは4年間の成果だと思うので素直にうれしい」と振り返った。

 喜びを口にした一方で、世界王者に君臨する金メダルのネーサン・チェン(米国)との差も痛感した。「練習でネーサンの安定感がなければ、この演技を悔やんではいけない」。ただ、大舞台での直接対決を通じ「この構成、この練習を、あと数年続けていけばもっともっとレベルが上がって、今のネーサンの位置で戦える存在になることも可能なんじゃないかなと思う」と確かな手応えもつかんだ。

 今季は「成長したい」との一心で、一歩ずつ道を切り開いてきた。これからもその気持ちは変わらない。「今できていることに満足せず、もっと新たな挑戦もしていきたい」。北京五輪では18歳の鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)が銀メダル。後輩も台頭してくる中〝世界のテッペン〟を目指す宇野の挑戦はまだ終わらない。