北京五輪が激震に見舞われた。8日に予定されたフィギュアスケート団体戦のメダル授与式が延期となった理由について、五輪専門メディアは1位となったロシア・オリンピック委員会(ROC)女子代表、カミラ・ワリエワ(15)のドーピング検査が関係していると報じた。「絶望」の異名を取り、金メダル間違いなしと言われた天才少女に何が起こったのか。

 疑惑を報道した五輪専門メディア「インサイド・ザ・ゲームズ」によれば、関与した薬物の作用は競技力向上ではないという。また、ワリエワが15歳であることから「世界アンチ・ドーピング規程では保護対象者であるため、事態はさらに複雑になる。もしワリエワが制裁を受けたとしても、はるかに軽いものになる可能性が高い」としている。

 また、ロシア「スポーツ・エクスプレス」はサンプルに含まれる禁止薬物は運動性能を高めるものではなく、心臓の問題を治療するために使用されるものだと報道。一方で「これで個人戦出場は許されない」と伝えた。

 ワリエワは団体の女子ショートプログラム(SP)とフリーで1位に輝き、優勝に大きく貢献。個人戦でも金メダルが確実視されていただけに、仰天情報にロシアは騒然。連邦議会副議長のビタリー・ミロノフ氏は「スポーツ・エクスプレス」に対し「残念ながら、ドーピング・コントロールシステムは完全に不透明なもの。私たちの選手は、勝ったからドーピングの罪を犯すことになる。彼らが勝たなければ、こんなことは始まらなかった。私たちのチームを五輪から排除し、非難するために、何かをしたかったのだ」と〝陰謀説〟を持ち出して怒りのコメントを寄せた。

 ロシア国内ではワリエワの師匠で、これまで平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワら数々の天才少女を生み出してきたエテリ・トゥトベリーゼ氏の責任を問う声も上がっており、女子フィギュア界をけん引してきたロシアにとって、大打撃となっている。

 その一方で、ロシアメディアは一斉に〝妖艶女王〟エリザベータ・トゥクタミシェワ(25)が代わりに出場する可能性を報じた。元世界女王のトゥクタミシェワは、10代選手が席巻するロシア女子フィギュア界にあって、大人の魅力満載で人気選手。今大会の出場を目指していたが、補欠に回っている。

 いずれにせよ、今大会で〝女子の主役〟でもあるワリエワが出場できないとなれば、その衝撃は計り知れない。