フィギュアスケートの北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)の男子ショートプログラム(SP)が24日に行われ、18年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が101・88点のハイスコアをマークした。

 18日に負傷した右足首のケガが懸念されたが、それを吹き飛ばす演技だった。SP曲「オーボエ協奏曲」に乗り、冒頭の4回転フリップを着氷。負担が軽減されるサルコーへの変更も考えたが、当初の予定を貫いた。続く連続トーループの後半は2回転としたが、点数が1・1倍となる後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は成功。全てのジャンプで加点を引き出し、スピンとステップはオールレベル4と完璧だった。公式練習で何度も転倒した悪夢がウソのように生き返った。

 演技後は右手でガッツポーズ。納得の表情を浮かべた宇野は「いい調子だったら今日の演技は悔やむべき点が多かったと思うんですけど」と前置きしつつ「至らない部分もたくさんありましたけど、今のいい演技が出せたんじゃないかな」と及第点を付けた。

 冒頭ジャンプの選択はコーチを務めるステファン・ランビエル氏のひと言で決まった。

「サルコーでもフリップでも、どっちでもキミはできるよってホテルの部屋で言われて。自分の中で迷っていたので、できるんだったらフリップがいいなって結論が出て、ようやく吹っ切れて迷いがなくなりました」

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対する水際対策で多くの外国人コーチが来日できない中、ランビエル氏は在留資格を持っているため入国が可能。この日もリンクサイドで見守った名コーチの〝魔法の言葉〟で見事に蘇生した。

 故障箇所については「試合中も全く痛みはなかった」と不安ナシ。26日のフリーへ向けて「1日あくので、少しでもベストな状態を皆さんにお見せできるように」と前向きに話した。