エンジン全開だった。フィギュアスケートの北京五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)の女子ショートプログラム(SP)が23日に行われ、平昌五輪代表の坂本花織(21=シスメックス)は79・23点の高得点をマーク。キスアンドクライでトレードマークの笑顔がはじけた。

 さすがの演技だった。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を着氷すると、3回転ルッツ、後半の3回転フリップ―3回転トーループの連続ジャンプも成功させるなど、終始安定した演技を披露。「NHK杯以上に緊張したが、6分間練習が始まる前もワクワクして、更衣室で談笑しながらお互いに緊張をほぐしていたので、それがすごいいい感じでできたかな」と振り返った。

 SP前には会場周辺で走り込みを敢行。「自分は動けば動くほど動けるタイプなので、先生たちからはフェラーリと言われている(笑い)。最初のエンジンをかけるまでは時間がかかるけど、エンジンがかかりだしたらすごい動くから試合でベストな動きができるように、外を走っています」と笑いを誘った上で「4年前とちょっと違うなというのは(当時は)本当に一番下っ端だったので本当に運が良ければその(五輪代表枠の)2枠に入りたいなというぐらいだったけど、今年は優勝して一発で五輪の内定を決めたいなという気持ち」と覚悟を口にした。

 勝負のフリーでも「しっかり集中を最後まで切らさずに、パーフェクトにできたら」と慢心はなし。フェラーリの如く、自らの演技で周囲をあっと驚かせるつもりだ。