フィギュアスケートの世界国別対抗戦(16日開幕、国立代々木競技場)の日本代表が31日、発表され羽生結弦(20=ANA)らが選ばれた。万全な状態ではない日本のエースはなぜ出場を決断したのか。先の世界選手権で2位の“リベンジ”はもちろんのこと、2014年ソチ五輪から団体戦が始まったことによる同大会の“真剣勝負度”アップが大きく影響している。

 昨年末に腹部を手術し、1月末には右足首を捻挫。先の世界選手権(中国・上海)は2位で連覇を逃した。現在ももちろん状態は万全ではない。それでも「この(世界選手権銀メダルの)まま終わりたくない。悔しいイメージのまま終わるのは絶対に嫌」(羽生)。自分自身のリベンジのために出場を選んだ。

 ただ、理由はそれだけではない。国別対抗戦は2009年に誕生と歴史が浅く、世界選手権などに比べれば“花相撲”の感があった。しかし、フィギュアスケート関係者によれば「最近は各国でトップが出るべき重要な大会という認識が浸透してきている。勝つために調子が悪い選手を外すぐらいの本気度がある」。今大会も、現段階で女子は世界選手権金メダルのエリザベータ・トゥクタミシェワ(18)や銅メダルのエレーナ・ラジオノワ(16=ともにロシア)らトップが出場する予定。男子は、世界選手権優勝のハビエル・フェルナンデス(23=スペイン)、3位のデニス・テン(21=カザフスタン)には出場権がないが、日本以外の5か国もすべてトップ選手が出揃う見込みだという。

 これはソチ五輪から団体戦が採用され、五輪メダルがかかる種目になったことが大きい。18年平昌五輪の予行演習の場にもなっているのだ。

 もちろん、それは羽生自身も同じだろう。「世界ランクが一番上なので、引っ張る演技ができればいい。いつもと違う試合になると思うので、集中の仕方を研究したい」と、団体戦での戦い方に興味を示した。今回の出場は日本のエースとして平昌五輪へ向けても役に立つはずだ。