“初ものコレクター”が順調なスタートを切った。フィギュアスケートの世界選手権(中国・上海)が25日に開幕。故障続きだったソチ五輪金メダリストの羽生結弦(20=ANA)は、24日の公式練習で復調をアピールした。

 久々に公の場で口を開いた羽生は「戻ってきたな、というか、久しぶりでこんなにメディアに囲まれ、緊張している。やっとこうやって皆さんの前に立って演技する覚悟ができるコンディションになった。まずそこを幸せだと思っている」と、前向きに語った。

 上海入りする前、日本スケート連盟の小林芳子強化部長(59)が「ストレスやプレッシャーに押し潰されないよう、守ってあげたい」と羽生の状態を明かさなかったことで、状況が良くないのかと思われた。しかし、この日の公式練習ではトーループ、サルコーと2種類の4回転ジャンプを成功させ、仕上がりは上々だ。

 昨年11月の中国杯で中国選手と衝突し流血。昨年末に腹部手術、今年に入って右足首を捻挫と困難な状況が続いた。それでも主要大会は絶対に休まず、タイトルを獲得してきた。「彼は日本人初、世界初といった大きな記録に魅力を感じる選手」(日本スケート連盟関係者)。体調を心配されても結果を出し、GPファイナルでも日本人「初」連覇を達成した。今大会も日本人「初」の世界選手権連覇というタイトルがかかるとあって、持ち前の精神力で乗り切れそうだ。

 この日は、衝突という悪夢があった昨年の中国杯以降、初めて同じリンクに立った。「思い出さなくはない。今日滑った感じで『こんなこともあった』と思ったが、皆さんが思っている以上に全然気にしていない。僕にとってあれは過去」とキッパリ。大会の主役は揺るがない。