フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦のNHK杯2日目(13日、東京・代々木第1体育館)のフリーが行われ、ショートプログラム(SP)で6位の〝かなだい〟こと村元哉中(28)&高橋大輔(35=ともに関大KFSC)が108・76点をマーク。合計179・50点で6位となり、北京五輪出場「1枠」を争う〝夫婦カップル〟小松原美里、尊(倉敷FSC)の172・20点を上回った。

 クラシックバレエの世界を描くフリー「ラ・バヤデール」。昨季から連続で使用するプログラムだが、2人はまるで別物のように進化していた。

 高橋が村元を持ち上げるリフトは最高のレベル4を獲得し、ツイズルもそつなくこなした。コレヲリフトでやや体勢を崩したものの、大きなミスなくフィニッシュ。演技を終えると、日の丸を手にした観客から拍手の嵐。笑顔でハイタッチした〝ニューかなだい〟は結成2年目にして日本最高位(6位)となった。

 試合後、村元は「本当に大きなミスがなく、自分たちが練習してきたことができたかな。表現でも昨シーズンに比べてすごい余裕を持って滑れたので、すごい良かったと思います」と満足げ。隣の高橋もやや息を上げながら「リズムダンス、フリーダンスともに大きなミスなく、大きな舞台で終えることができたので、ひとつ自信になったと思います」と話した。

 昨季からプログラムを引き継いだことについて、高橋は「1年で終わらせるのはもったいなかったですし、素晴らしい曲なので完成形を目指したかった。その分、(新プログラムの)リズムダンスに集中して練習することができた。いい選択ができたと思います」と説明した上で「自分たちも新たに発見し、新たな表現をしながら、同じ曲ですけど新しいプログラムとして滑っている感じ」と話した。

 結成時から目標に掲げてきた北京五輪の最終選考会は12月の全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)。前哨戦でライバルに一歩リードしたが、2人は課題の克服しか頭にない。

「リフトも質を上げないといけないし、それ以上にスケーティングのエッジワークが一番大きなところ。そこは時間をかけてコツコツやっていけたら」(高橋)

「スケーティングのスキルがトップの人たちとまだまだ差がある。第2得点を少し上げれるように、もっともっとスケーティングの強化が必要」(村元)

 いまだかつてない成長曲線を見せる〝かなだい〟だが、まだ伝説の序曲に過ぎない。