2018年平昌五輪フィギュアスケート男子銀メダルの宇野昌磨(23=トヨタ自動車)が掲げるテーマとは――。

 グランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯初日(12日、東京・代々木第1体育館)の男子ショートプログラム(SP)に第10滑走で登場した宇野は、冒頭の4回転フリップを成功させると、4回転―2回転の連続トーループも着氷。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)もきっちり決め、今季自己ベストの102・58点で首位に立ったものの、その表情は曇っていた。

 なぜか。宇野は演技後の会見でこう語った。「出来の言い悪いではなく、どんな理由でも(連続ジャンプの)2本目の3回転ジャンプを2回転にしてしまったのが悔しいというか、よくないなと。今季はまだまだ長いので、まだまとめにいく時期ではない。空中の一つのブレから挑む気持ちが少し足りなかった」

 今季は北京五輪シーズン。大事な1年であることに変わりはないが、勝負の日が12日でないことは明らか。「いい演技より成長できる試合にしたい気持ちが強い」とさらなる高みを見据えているというわけだ。

 現在の課題は、12日のSPで失敗したトーループ。「アイスショーから失敗してでも取り組み続ける。練習では単発で跳ばない。今年は練習も本番も全部コンビネーションでやっている」。結果的にコンビネーションに苦手意識はなくなったが「自分を見失うときに頼ってしまったのがダブルトーループ。今は成長したいと思っているからこそ、挑戦するべきだった」と改めて反省点を口にした。

 だからこそ、13日のフリーは攻めの姿勢を貫く。「失敗していても成長できるようなフリーを最後まで滑り切る。今季は僕が世界のトップで戦える選手になるシーズンにしたいと本当に思っている。失敗してもいいとは言わないけど、失敗を恐れず挑戦するべき」と自らに言い聞かせた。

 北京五輪まで残された時間は3か月あまり。世界の頂へ、宇野の挑戦はまだ始まったばかりだ。