あえて〝イバラの道〟を選んだ。フィギュアスケートの全日本女王・紀平梨花(19=トヨタ自動車)がコーチ変更を発表。北京五輪へ向けて練習拠点をカナダ・トロントに移し、五輪2連覇の羽生結弦(26=ANA)のコーチとして知られるブライアン・オーサー氏が率いる「チーム・ブライアン・オーサー」の指導の下、トレーニングを積むこととなった。

 同チームはオーサー氏をはじめ、トレイシー・ウィルソン氏、ペイジー・アイストロープ氏、ジスラン・ブリアン氏、今季のフリー振り付けを担当するデビッド・ウィルソン氏で構成。長らく師事してきた浜田美栄コーチとも従来通りの関係を維持する。また、昨季終盤に痛めた腰は快方に向かっているという。

 しかし、今季初戦は全く見通しが立たない。紀平は8日にトロント入りしたが、オータムクラシック(16日開幕、カナダ・ピエールフォン)はもともと同国を拠点にしている選手以外は出場できない。日本開催のジャパンオープン(10月2日、さいたまスーパーアリーナ)、北京五輪テスト大会のアジアンオープントロフィー(10月13日開幕、中国)は入国後の隔離制限次第で出場できるかは不透明だ。そのため、グランプリシリーズ第2戦のスケートカナダ(10月29日開幕、バンクーバー)はぶっつけ本番となる可能性もある。

 新型コロナウイルス禍により2年連続で先が見えない戦いとなるが、それを承知でカナダを拠点にすることを決断。紀平は「練習場所となるトロントクリケットクラブは素晴らしい施設を備えた恵まれた練習環境」と話しており、自身を成長させる道を選択した。それが北京五輪にかける何よりの覚悟の表れだろう。