フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル(スペイン・バルセロナ)で2連覇を果たした羽生結弦(20=ANA)が16日、成田空港に帰国。「楽しかった。幸せな気持ちで滑れたのは何年ぶりだろう」と大会を振り返った。

 先月の中国杯での衝突を乗り越え、日本人男子初の連覇を達成したが、若き王者は「結果として2連覇になったが、皆さんが思っている以上に連覇の喜びはない」と淡々としたもの。7日に20歳の誕生日を迎えたばかりで、心境の変化を問われても「特にないですね。とっくにシニアの選手なんで」。はるか以前から“成人”の心構えができていたようだ。

 確かにメンタル面は20歳とは思えないほど成熟している。19歳最後の大会で4位に終わったNHK杯(11月、大阪)後には「試練があり、乗り越える壁があることほど楽しいことはない」と大人でもなかなか言えない言葉を口にしていたが、この日も「自分が弱いと思うということは、強くなろうという意思があること。自分は強くなろうと頑張っているんだと思える」と話し、周囲をうならせた。

 また「羽生選手のような子供に育てたいという声も多い」という質問には「それぞれのお子さんの良さがある。一人として同じ子はいないし、それぞれの良さがある」と教育本のような回答。それでいて、特に影響を受けた書物などは「ない」というのだから、恐るべき精神年齢の高さだ。

 羽生は今後仙台で調整を続け、大会3連覇と来年3月の世界選手権(中国・上海)出場権が懸かる全日本選手権(25日~、長野)に出場する。演技内容や得点、順位に注目が集まるのはもちろんだが、演技後の会見で語られる“羽生哲学”からも目が離せない。