悪者扱いの連盟とコーチを救った羽生の気配り

2014年11月28日 12時13分

会見で“大人”の気配りを見せた羽生

 フィギュアスケートのGPシリーズ最終戦NHK杯(28日開幕、大阪・なみはやドーム)に出場する羽生結弦(19=ANA)が日本スケート連盟を救った? 27日、大阪市内のホテルで会見に臨んだ羽生は第3戦の中国杯で中国選手と衝突し、流血して氷上に倒れながら強行出場した経緯を吐露。「なぜ出場をやめなかったのか」と批判の矛先となり、完全に悪者扱いされた日本連盟とブライアン・オーサー・コーチ(52)をかばった。金メダリストの気配りで流れは変わるのか。

 若き五輪王者が優等生すぎる律義さを見せた。中国杯後、初めて会見した羽生は「ご心配をおかけしたことを深くおわびします。現地ではしっかりと診断を受けたうえで出場したので、どうか深刻にならないようお願いします。多くの人がコーチ、連盟を批判することもあったと思うが、僕の意思を尊重してくれたブライアンや連盟に感謝しているし、ここにいる自分の体に感謝したい」と話し、泣けるセリフが飛び出した。

 中国杯では羽生が閻涵(エン・カン=18、中国)と激しく衝突しながら強行出場。これには「脳振とうの危険性もあるのに出場させるべきではなかった」「止められない日本連盟やオーサー・コーチが悪い!」と、羽生本人よりも周囲が強く批判を受けた。特に日本連盟は自国のドクターを帯同させていなかったこともあり、ファンからのクレームが殺到。さらにメディアからも強烈なバッシングを受けた。羽生によれば衝突直後、米国のドクターから「脳振とうの危険はない」と断言されたことで、本人、コーチも出場の意思を固めていた。「リスクはあったと思うが、そのドクターを信じて滑りたいと思った」(羽生)。実際の経緯を自ら口にし、感謝の2文字まで述べたことで、批判にさらされた日本連盟とオーサー・コーチを救った格好だ。

 何とも“大人”の気配り。ただし海外メディアから、衝突直後に競技を続けるリスクを問われると「実際にスポーツは自分の限界に挑んでいるわけで、ある意味では死と隣り合わせ。1秒にも満たない時間の差で、今いなくなってたかもしれない」とポツリ。危険なことには変わりないだけに、二度と同じことが起きないよう再発防止に努める必要があるのは間違いない。