羽生あるのか「NHK杯強行出場」

2014年11月11日 11時00分

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯(上海)で、閻涵(エン・カン=18、中国)と激突して負傷した羽生結弦(19=ANA)が都内の病院で精密検査を受け全治2~3週間と診断された。28日開幕のNHK杯(大阪)の出場は微妙な状況だが、中国杯では流血して倒れ込んだにもかかわらず強行出場した。NHK杯も“強行”する可能性はあるだけに「次は止められるのか」という指摘が出ている。

 日本スケート連盟は10日、精密検査の結果を発表し、羽生は頭部挫創、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿挫傷、右足関節捻挫で全治2~3週間と診断された。中国選手と激しくぶつかったが脳の異常は認められず、入院はせずに通院しながら治療を受けるという。

 羽生も連盟を通して「皆様にはご心配とご迷惑をおかけして申し訳ない気持ちでいっぱいです。まずはゆっくり休み治療したい。今後のスケジュールについては、ケガの回復具合をみながら検討したいと思う」とコメントした。

 次戦に予定しているNHK杯は18日後の28日に開幕。出場するかどうかは回復状況を見て決めるというが、現状ではかなり微妙なラインだ。ただ、中国杯が行われた上海では、負傷後も直訴し強行出場を果たしている。

 ソチ五輪で金メダルを獲得し、王者として迎えた今季。NHK杯ではGPファイナル(スペイン)出場がかかり、大会の目玉として注目されている。治療が進み、出場が十分可能な状態に回復すればいいのだが、羽生の精神力と責任感の強さを考えれば、回復途上でも再び“強行出場”してしまう可能性はある。

 そもそも、中国杯では激しく激突して流血した状態で倒れ込み、2分ほど動かなかった。やっとのことで起き上がった羽生を見て、誰もが棄権する…と思われた状況だったが、「出たい」と訴える羽生の涙に周囲は止めることができなかった。「『ここでヒーローになる必要はない』と伝えたが、彼の意志は固かった」(コーチのブライアン・オーサー氏)

 脳振とうを起こしていれば、今後に後遺症が残る恐れもあったはず。適切な判断だったかは疑問だが、羽生の意向が何より尊重されたのだ。

 また、今季は開幕前に腰痛を発症し、10月のフィンランディア杯出場を見送った。中国杯も万全とは言いがたい状態だったが「GPファイナルに出たい」という羽生の希望で出場していたという。

 このため「羽生は意志が強い選手。オーサー・コーチも強く忠告したり、諭すことがなかなかできないのでは」(フィギュアスケート関係者)という声もある。すべての決定が羽生の気持ち次第と言えなくもない。もちろん、羽生の意志の強さは最大の長所でもあるのだが…。

 世界の頂点に君臨しているとはいえ、まだ10代だ。先は長く、無理は禁物だろう。羽生はどう決断するのか。