フィギュアスケートの世界国別対抗戦(丸善インテックアリーナ大阪)の男子フリーが16日に行われ、五輪2連覇の羽生結弦(26=ANA)が今季自己ベストの193・76点をマーク。ショートプログラム(SP)と同様に首位のネーサン・チェン(21=米国)の203・24点に及ばず2位となったが、今季ラスト演技で大きな希望を見いだした。

 フリーのプログラム「天と地と」。その滑り納めは満足のいくものだった。4回転サルコーでミスがあったが、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を華麗に着氷。コロナ禍に見舞われた激動のシーズンの最後のジャンプに臨む時、王者はある思いを抱いていた。

「ここ2試合の間でトリプルアクセルがあまりにもうまく決まらなくて、すごくショックを受けていたというか、悔しかったというか。なんかトリプルアクセルというジャンプに対してすごく申し訳ないなという気持ちでいました。だからこそ今日、最後の最後はもちろん世界選手権の記憶もかぶりましたけど、絶対にきれいに決めてやるんだって、4回転半に続く道をここに示すんだっていう気持ちでトリプルアクセルに挑みました」

 演技後半、当然ながら疲れもある。最後の場面を「わざと(スピードを)落としていますけど、表現として」と説明した上で「自分でも力を感じることなく、非常にスムーズに軸に入って、高さもあるいいジャンプだったと思います。今できる自分のベストのトリプルアクセルだったと思います」と満足げに振り返った。

 来季は2022年の北京五輪が控えている。五輪3連覇という偉業がかかるが、今の羽生の頭には人類初の成功となる4回転半しかない。

「今シーズン、やっぱり4回転半が入れられなかったことがすごく残念に思います。ただ4回転半を練習してきたからこそ見えてきた曲とのつながりとか、トリプルアクセルとの違いとか、他のジャンプへの体の使い方の考え方とか、いろんなことが見つかっています。そういった今の知識、経験、いろんなものを結集させて、来季4回転半を目指して、そして4回転半が揃った、完成された演技を目指して頑張っていきたいと思います」

 夢に続く道は出来上がった。あとはその道を王者らしく、威風堂々と歩むだけだ。